【イナイレ】おお、神さまは天の上:1 (ページ6)

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───ああ、東。早く帰ってきてくれ。

大神はなるべく心情を顔に出さぬように気を付けて、豪炎寺にどういう意味かと訴える。目付きの悪い豪炎寺に無言で見つめられる状況に、大神は居心地の悪さを感じていた。

「俺の妹を庇ってくれたこと、感謝している。」

『あぁ……そういう事か、あー……』

大神は思い当たる節があり、苦笑する。

……しかし、だ。

大神にその記憶はない、故に豪炎寺にどう言葉を返したら良いか分からなかった。

『……妹さん、大丈夫だった？』

結局、絞り出した言葉はその一言。

「命に別状はない……未だ目覚めはしないが。」

豪炎寺の妹は昏睡状態。そんな中、共に事故にあった筈の大神はこうして此処に居る。それが無性に腹立たしくて、大神はぐっと拳を握った。

───頭痛がしてきた。

『……実害がでた時点、庇ったとは言わない。君は礼を言う相手を間違えている。』

───分からない、思い出せない。

「そんなことは無い、お前は夕香のために……」

───覚えていないんだ、覚えて……

『───ユウカ？』

豪炎寺の口から妹の名前が出た途端、大神はその名を口にする。その後、豪炎寺は大神に言葉をかけるが、一向に返事がない。

───ユウカ、その名前どこかで……？

大神は頭を抱え、呼吸はだんだんと荒くなっていく。只事ではない気配を感じとり、豪炎寺は大神の顔を覗き込んだ。目を合わせようにも焦点は合わず、手は震えて酷い汗をかいてる。

「顔色が悪いぞ、どうし……ッ！」

頭を抱えていた腕は力なく机に落ち、大神自身もそのまま机に倒れ込む。豪炎寺はなるべく揺らさないよう肩を叩き、声をかけるが反応がない。

「くそッ、どうして……」

豪炎寺は大神を背負って教室を飛び出し、保健室へと駆け込んだ。