13話 「知らぬが仏」 ページ15
世の中には知っている方が幸福な事と、知らないほうが幸福な事がある。
これは間違いなく後者だった。それだけの話だ。不幸中の幸いとして、今飲んでいるスープは俺的にはセーフな物のみで構成されていたため、問題なく飲める。じゃなかったら咽ていた。
「だが、気に入ってくれてよかった」
『は、はい。すごく美味しかったです』
貴方の話を聞くまでは……とは言えない。死んでも言えない。だってこんなにも嬉しそうだもの。すごくふわふわ笑ってるもの。お花が飛んでるエフェクトまで見えるもの。
苦笑いでどうにかこうにか乗り切り、カップの中のスープを飲み干した。
ホントに……食材がそれと思わなければとんでもなく美味しいから恐ろしい。
「ところで、貴殿はどうしてここにいたのだ?」
『昨日のことですよね?』
コクリと頷く毒島さんにさてどこまで話したものかと思案する。
恐らく、違う世界から来ましたはまずい。恐らくでもなんでもなく不味い。そして中王区でのことも伏せておいた方がいいだろう。聞かれたのは、「なぜここにいたのか」ついでに「なんであんなズタボロ状態だったのか」も流れで聞かれるはずだ。俺だって毒島さんの立場だったら気になる。
なら、横浜に出てきてからの事を言えば問題ないはずだ。
『実は昨日……』
話した点は三つのみだ。
横浜の路地裏で恐らくヒプノシスマイクによる何かを食らったということ。
それが初めてのことで、一発で昏倒してしまったこと。
起きてからも具合が悪く、同じ場所から離れようと焦っていたら気づいたら森に入っていてぶら下がっていたこと。
これを丁寧めにした感じで話した。毒島さんは相槌を打ちながら真剣に聞いてくれていたが、途中で思案するような顔になった。
『どうかしました?』
「ふむ……いや、そのヒプノシスマイクだがな」
ゴソゴソとなにかを取り出す毒島さん。
嫌な予感が緊張というものに成り代わり背筋が伸びた。そして俺のこれは大体当たる。
「小官も持っている」
毒島さんの右手には通信機のような形のもの。よく自衛隊とかが持ってるイメージのやつ。どう考えてもマイクだろう。形状は様々だという中王区で聞いた話が脳内をよぎる。
出すと同時に起動させたのであろう、昨日路地裏で聞こえた機械音が耳に入った。俺はその瞬間。
「ッ!!?」
座っていた椅子を後ろに蹴り飛ばし、机を一歩で踏み越えマイクを持つ毒島さんの右腕を蹴りぬいた。
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カルラ - ゴファッ!! なんだこれは、、、、、 めっちゃいい! (2019年5月22日 16時) (レス) id: 92a66c530f (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - たぬきなたぬたぬさん» ありがとう……ございます……(´;ω;`)これからもよろしくお願いします! (2019年3月2日 13時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
たぬきなたぬたぬ - ほんとに.....なにこれ......すき.......。 (2019年2月26日 21時) (レス) id: 83afc62697 (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - だまこさん» 理鶯推しがここにwありがとうございますw (2019年2月18日 18時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
だまこ(プロフ) - 理鶯が1番好きなんじゃあ (2019年2月18日 17時) (レス) id: 3c83364c40 (このIDを非表示/違反報告)
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