【ヒプマイ】どこの世界でも俺が最強だと思ったら大間違いだクソボケ！！【1章】

14話　「後悔先に立たず」 ページ16

俺の蹴りでマイクは地面に落ちた。
しかし毒島さんは元軍人。マイクないからハイ安心というわけにはいかないのは重々承知。当然反撃として左拳が飛んでくるが、それは右腕で受け止める。多少痛いが我慢。
しかしそのまま右腕を掴まれ、ついでに胸倉も捕まれ背負われ投げられる。が、直前に相手の胴体に両足でしがみついたため地面には落っこちない。驚いている様子の相手に渾身の頭突きをかます。手が離れたところで地面に降り立ち、そのまま鳩尾に一発蹴りを入れた。

「ぐっ！」

呻いて膝をついた毒島さん。
これ幸いとテントに向かって駆け出し、木刀のままスタンバイさせておいた銀(毒島さんと出会ったときに木刀だったので戻すタイミングなかった)を引っ掴む。
マイクを使われる前に逃げるぞと走りながらちらりと毒島さんの方を確認した。それがミス。

『うおっ！』

急に足が地面に吸い込まれる感覚。
何事！？と叫ぶ暇もなく尻を盛大に打った。い、痛い。地味に痛い。小さいころに木登り失敗して落ちた苦い記憶が蘇ったぞコンニャロ。打ったところを擦りながら上を見上げる。三メートル以上はあるな。上がろうにも手は届かねえか、クソが。

「大事ないか？」
『………』
「小官に敵意はない」

ひょこっと顔を出した毒島さん。どう考えてもお前のせいでケツが痛いんですがと文句の一つも垂れたいが、それ以前にコイツ俺に攻撃しようとしたわけで。ないって言われても無理ですよ。

『嘘つけ』
「……マイクを使っていないのが証拠だと思うが？」
『………出してください』
「ああ、少し待っていてくれ」


そういうと一度引っ込み、ロープを持って戻ってきた。
垂らされたロープをありがたく掴み、そのまま大人しく……

『登るわけねえだろうがボゲ！！！』
「うおっ！」

思いっきり引っ張ってやった。不意を突かれたのか普通に落ちてきた毒島さんにこちらとしては相当に気分がいい。

『はっはっはっはっはっは！！自分が作った罠に落っこちるとかどんな気分ですかー！！？あっははは！！』

地面に突っ伏していた毒島さんがむくりと起き上がる。鼻を打ったのか、鼻血が出ているがもう笑えない。爛々と碧い瞳を好戦的に光らせた毒島さんは、流れる血を親指で乱雑に拭って笑った。いや、さっきのお花飛ばしていたのと同一人物？マジで？
背中が土の壁に当たる。ここは落とし穴の中、逃げ場なんてあるわけがない。

「軍人を馬鹿にしたことを後悔するんだな」
『え、いや、あの』

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