10 ページ12
「みんな…!」
皆の姿を見て駆け寄ろうとした守だったが、背負っているタイヤの重さでバランスを崩し転げてしまう。
『守!』
「「キャプテン!」」
「帝国と試合する前にお前の方がばてるぞ」
「へへ…大丈夫だって!」
「こいつら、俺が来る前からお前達のこと見てたみたいだぞ」
『え?』
全然気づかなかった…。
守も気づいていなかったようで、私達は目を丸くして見合わせる
「円堂とAが他の運動部に声掛けるの見てたら…ちょっとな」
「その特訓も、見てたら胸がじーんときたでヤンス…!」
「キャプテン、俺も一緒に練習やらせてください!」
俺も、俺も!とみんなが口々に言う。
その言葉に、守の目元には涙が浮かんでいた。
――相手は帝国ですよ?無理、絶対無理!
――ぼこぼこにされて恥かくだけですよ…。
…さっきまでは、こんな光景考えられなかったのに。
「当たり前じゃないか!大歓迎だよ!!!みんな、やろうぜ!!」
「「おう!!」」
皆が、こぶしを突き上げる。
昔から、守はサッカーに対してどこまでも真っ直ぐだった。
それは、傍から見たら馬鹿だと笑われてしまうかもしれない。でも、そんな彼の姿が、こうやって周りの人間まで変えてしまう
「A!もう一度、見てくれ!」
『…うん!』
絶対にこのサッカー部を廃部にしたくない。そんな気持ちが、よりいっそう強まった。
60人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:白 | 作成日時:2021年11月7日 20時