カギヒトツ（第8話） ページ9
ガチャ…ガチャガチャ…
A「ん…？」
なんの音？拘束を解く音が何故か近くで聞こえてくる。私は気になって目を開けた。
すると、カズキが私の処刑台のカギ穴に、必死で差し込もうとしていた。
A「んな…！何やってるの！？私の事はいいってさっき…」
カズキ「お前はそれでいいかもしれないけど、俺はそうじゃないんだよ！」
A「時間がないってば‼早くこの部屋を…」
カズキ「お前を置いて逃げる訳ねぇだろ！！」
A「……！？」
カズキ「…A、どうせお前は『カギ一本しかないなら、俺だけ生かして自分が死ねばいい』とか思ってんだろ？というか、そう思って俺を諭したんだよな？でもな、俺はそうは思ってない。お前も助けなきゃ俺が納得しないんだ！俺の幼馴染みを…、親友を死なせるなんて、俺が許せねぇんだよ！！」
A「…カズキ…」私は、私を助けようと奮闘するカズキの姿を見て、何も言えなくなってしまった。明らかに、さっきより落ち着いてる。
カズキ「…それに、パニックになってんのはAの方じゃないか？」
A「え？」
カズキ「顔が青ざめてるし、体が震えてる。それに、さっき音声案内では『カギは一本しかありません』としか言ってなかった。『カギは“一本につき、一台の処刑台しか”解除できません』とは一言も言ってないんだよ」
A「…助かる方法があるの…？一つのカギで、2人が助かる方法が…」
カズキ「可能性はゼロじゃない。それに、もし2人とも助かる方法がなかったとしても、俺が方法を作ってやる‼」
A「…カズキ…」
カズキ「それにしてもこのカギ…なんか違和感があるんだよな…カギ穴に突っ込むと塗装が剥げるのはなんでだ…？」
カズキはカギをじっと見つめた。
カズキ「…まさか！」そう言うやいなや、カズキは近くにあったテーブルを移動させ、上に登って燭台に手を差し出し始めた。
A「カズキ…？何をして…」
【残り、30秒です】
A「…！もういい、もういいわよカズキ！私の事はいいから早く逃げて！！」
私は涙をポロポロ流し始めた。
カズキ「待ってろ！今助けるぞ‼」
カズキは私の処刑台のカギを開け始めた。
【時間です】
ベッドは処刑台に合わせて曲がり始めて、遂に二つにへし折った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 12人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ルーティーヌ | 作成日時：2020年5月18日 12時
