ヤサシイ嘘（第28話） ページ29
カンナは泣きながら、訴える様に問い掛けた。
(カンナちゃんが受けた試練が私達と同じなら救えていた…でも、それを今カンナちゃんに伝えた所で…しかも、私だって仕掛けは分からなかったし、気づかなかったのはおかしくないわ…)
私は息を飲んだ。ここで嘘を言っても、カンナを後々傷つけてしまうだけだ。私はカンナの目を見た。
A｢カンナちゃん…あなたはね…｣
ミシマ｢…とても不運でした…｣ミシマが突然、口を挟んだ。
A・カンナ｢えっ…？｣
ミシマ｢あのとき、カギが1本しかなかった私とナオさんは、『力ずく』で拘束を解くしかなかったんです。幸い、サラさんにはジョーくん、Aさんにはカズキくんがいました。『男性の力』を持ってして、ギリギリ抜けられる試練だったのです｣
(先生…!?)
私は先生の言葉を察した。ミシマはカンナを庇っている…。
カンナ｢…っ!?そ、そんなのウソです！｣
ミシマ｢現に、私達3人は皆怪我を負っています｣
ジョー｢…あぁ｣
カズキ｢先生の言っている事は…間違いじゃないよ｣
そう言って3人は、『火傷で』負った傷をカンナに見せた。
カンナ｢し…信じないっ！！皆騙そうとしてるんです！カンナがお姉ちゃんを殺したんです！！あのとき、お姉ちゃんは何か訴えてたのに、カンナは馬鹿だから何も聞こえなくて！！｣
A｢…カンナちゃん。お姉ちゃんは、どんな人だったの？｣
私はカンナに優しく問い掛けた。カンナはしゃくりあげながら、ゆっくり答えた。
カンナ｢…お姉ちゃんは…優しくて…ケンカして
も、絶対ひどい事を言わなくて…いつも、カンナの事を考えててっ…！なんで…お姉ちゃんは…自分でカギ
を使ってくれなかったの…？｣
ミシマ｢生きていて欲しかったんですよ｣ミシマはカンナの肩に優しく手を寄せた。
ミシマ｢あなたからは、愛されている者が持つ空気を感じます。お姉さんに大切にされていたんでしょうね…｣そう言うミシマの声は、優しい声だった。
カンナ｢……｣カンナの顔に、生気が戻っていく。
ミシマ｢…サラさん。あなたがカンナさんのお姉さんだったら、なんと声を掛けますか？｣その言葉を受け、サラはカンナを真っ直ぐ見た。
サラ｢…無事で、良かった…｣
その言葉には、カンナを本気で想う気持ちが込められていた。
サラ｢生きていてくれて…良かった…！｣
カンナ｢うっ…うぅぅぅ…｣カンナは涙をポロポロこぼし始めた。
カンナ｢お姉ちゃん…会いたいよぉ...｣
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作者名：ルーティーヌ | 作成日時：2020年5月18日 12時
