カエリミチ（第2話） ページ3
帰り道はすっかり暗くなっていて、月が道を照らしていた。
カズキ「いやー、一時はどうなることかと思ったけど、無事に終わってよかったー！」
A「本当ね…覚悟していたとはいえ、生徒会長って骨が折れる役なのね…」
カズキ「でも、俺は安心してるぞ？」
カズキは私の肩をポンっと叩いた。
カズキ「俺はAが生徒会長なのが凄く嬉しいし、Aだったらいくらでもついていくつもりだからさ！」
A「…ありがとう」
生徒会長になると、こんな言葉が凄く励みになる。カズキは、こういう気の利く事がすらっと言える、とても優しい奴なのだ。
A｢それなら、今から私の秘書になる？生徒会の｣
カズキ｢えっ!?いや、それとこれとは話は別だろ！それにもう選挙で決まってるから無理だって！｣
A｢冗談よ…ふふっ。カズキって意外と可愛い所もあるのね｣
カズキ｢はぁ！？いや、お前男に向かって可愛いとか…｣
突然、カズキは喋るのを止め、私より向こうを警戒し始めた。
A「…カズキ、どうかしたの？」
カズキ「…！A、伏せろ！」そう言ってカズキは私を地面に抑えつけた。
A「うわっ！！何⁉どうしたの⁉」
その時、頭上でビュイン！と音と同時に何かが通り過ぎていった。
A「…え？一体、何が…？」
カズキ「…わからない。でも、目の前に“何か”が立っている」
A「えっ？」私は顔をあげたが、そんな姿は見えない。
カズキ「ほら、今は暗いだろ？だから…“見づらい”んだよ」
A「“見づらい”って…まさか‼」
私はすぐさま立ち上がり、後ずさった。
(もしかして…“あいつら”が動きはじめたの？)
すると、見えない“何か”がこちらに向かって進みはじめた。
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作者名：ルーティーヌ | 作成日時：2020年5月18日 12時
