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「あ!病院あった!」
うらたさんの声に探しに行っていた全員が駆け寄る。村というだけあって面積が小さいのが救いだった。
……因みに、ここはAの記憶の中だから、僕たちの姿も声もあちらの人には分からないらしい。
「もう生んじゃってる?」
「いや、その様子はないな……」
ひ、一人の出産に村人全員が……
扉の先には、数少ない病室の前の廊下に村人全員と思われる人数がぎっしりと集っていた。その人たちも通り抜けて、僕らは病室の真ん前に来る。先に行っていた坂田がおそるおそる口にした疑問に、うらたさんは首を振った。よ、よかった…
―――おぎゃぁああ!!
「―――ッ!!?」
赤ちゃんの泣き声が扉越しに病院内へと響くと同時に、ビリビリとした魔力が僕の肌にぶつかってきてビクリと肩が跳ねた。
何この魔力、尋常じゃない……!
村人たちが歓声をあげる中、僕たちは冷や汗をかいていた。産まれてこの魔力量。そして漂う強大すぎる力。僕らでも身震いするくらいだ。
「これは……!」
「この村には紋章持ちがいないの?
この異常な魔力量を感じて何もないって……!」
「ど、どうする、入るか?」
天月くんの言う通り、周りの村人は誰一人としてこの魔力に気付いていない。焦ったうらたさんの声がより一層僕らの緊張を高める中、判断をしたのはセンラさんだった。
「……いや、待ちましょうか」
「なんか、嫌な予感するんやけど」
「きゃぁああああ!!」
……悲鳴?
破られる勢いでドアが開けられ、看護師さんたちが崩れながら出てきた。その途端に村人たちもザワザワとどよんで、この場が一層うるさくなる。
放たれたドアは閉まらずに、そのまま中の様子が見えた。
「「……っ!」」
……そこには腰を抜かして床で後退りする白衣を来た女性と、ベッドに寝る女性。
そして、
「……!」
"泣き止んだ"、純白のタオルに巻かれた赤ん坊。
「紋章が2つあるわよ!!」
「目の色がおかしいの!!」
右目の上で、白い紋章が発光しながら浮遊している。左目には黒い紋章が肌に浮び上がっていた。
左目は瞑ってて、右目は真っ白で。
あれ、産まれたばかりの赤ちゃんって、こんなに目をしっかり開けてるっけ?
「うわ、ぁああ……」
「あれ、まさか伝説にある……闇の、紋章じゃ」
訳が分からないと、村人の声が小さく飛び交う。そんな中、誰かがぼそっと呟いた。
「……悪魔、だ」
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キツネ(プロフ) - や、ヤバい。しらす(。∀ °)で話が何も入ってこねぇ!ていうかそこで爆笑したw (2019年5月12日 23時) (レス) id: f12a239c64 (このIDを非表示/違反報告)
ばけモノ。(プロフ) - 赤りんごさん» そう言っていただけて嬉しいです!移行したパート3の方もよろしくお願い致します! (2018年8月27日 21時) (レス) id: edcac17eb5 (このIDを非表示/違反報告)
赤りんご(プロフ) - ばけモノ。さん» いやいや、全然大丈夫です!この小説大好きです!更新楽しみにしてます! (2018年8月27日 21時) (レス) id: d52f074cb8 (このIDを非表示/違反報告)
ばけモノ。(プロフ) - 倖穂さん» 可愛いイラストをありがとうございました!まだ1話しかないですが移行致しましたのでそちらの方もよろしくお願いしますね!(´∀`) (2018年8月27日 21時) (レス) id: edcac17eb5 (このIDを非表示/違反報告)
ばけモノ。(プロフ) - 赤りんごさん» 凄く嬉しいです!とても可愛いイラストをありがとうございましたぁぁ!!文字数の関係で本作には感想を書けませんでした、…すみません……。 (2018年8月27日 21時) (レス) id: edcac17eb5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ばけモノ。 x他1人 | 作成日時:2018年7月19日 23時