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side……Skt
先程まで破壊音が耐えなかった広場の原型を残さない場所は、今は静寂で覆われていた。
理由は、気絶して倒れた黒髪の天使と立てなくなっても尚ギリギリの意識を持つ白メッシュの入った天使にAが何もしなくなったからだった。
「……」
誰も、何の言葉も発しない空間。
強いて言うならば、そらるさんの荒い息音が僅かに聞こえるくらいだろうか。
敵だと言うことを忘れて同情してしまうほど、2人の傷は多く、その一つ一つが深かった。傷に対して一般的な紋章持ちの大人程の耐性は兼ね揃えていない俺たちにとって、その傷は目を瞑りたくもなってしまう。
そしてその傷を付けた人物にさえ、目を瞑りたい。
「A、なんだよね……?」
「「……!」」
砂埃の止んだ静寂の中に、小さくまふくんの声が響く。それを合図に一斉に視線は彼女へと向くけど、Aはピクリと反応を見せるだけで……こちらを向くことは無かった。
先月に受け取ったばかりのジャージは俺たちよりも新しいまま天使たちの返り血を吸ってどよんでいる。
『……!
う"、あ"ぁあ……あ、』
カラン、と割れた石畳を武器が叩く音が辺り反響する。
……静寂を破ったのはAだった
本当に急なこと。手から武器が滑り落ちたかと思うと、頭を抱え始めてその場にふらついた。明らかな激痛に耐えながら呻く彼女の姿に、俺は無意識に地面を蹴る。
「Aっ!!」
「坂田…っ!」
「おい!」
「待ってっ!」
後ろからまふやうらさん、天月に呼び止められたが全て無視し、一直線に彼女の隣りへ行って肩を支える。
「A……っ」
『……さ、さか、たさ…………ごめ、……っ』
「!!無理に喋んなや!」
苦しそうに俺を見上げる双眼はいつものAそのもので、少しの安心を覚えた。
(……あれ)
でも、こんなに近くでAを見たことが無かったから気づかなかった。その綺麗な瞳の左目が黒で濁ってることに。
――――――刹那、俺たちの真後ろから予想だにしない人物の叫び声が上がる
「―――A!みんな!」
振り返った俺の目の端には、走る彼の速さに着いていけない金色の糸と淡黄の光が映った。
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キツネ(プロフ) - や、ヤバい。しらす(。∀ °)で話が何も入ってこねぇ!ていうかそこで爆笑したw (2019年5月12日 23時) (レス) id: f12a239c64 (このIDを非表示/違反報告)
ばけモノ。(プロフ) - 赤りんごさん» そう言っていただけて嬉しいです!移行したパート3の方もよろしくお願い致します! (2018年8月27日 21時) (レス) id: edcac17eb5 (このIDを非表示/違反報告)
赤りんご(プロフ) - ばけモノ。さん» いやいや、全然大丈夫です!この小説大好きです!更新楽しみにしてます! (2018年8月27日 21時) (レス) id: d52f074cb8 (このIDを非表示/違反報告)
ばけモノ。(プロフ) - 倖穂さん» 可愛いイラストをありがとうございました!まだ1話しかないですが移行致しましたのでそちらの方もよろしくお願いしますね!(´∀`) (2018年8月27日 21時) (レス) id: edcac17eb5 (このIDを非表示/違反報告)
ばけモノ。(プロフ) - 赤りんごさん» 凄く嬉しいです!とても可愛いイラストをありがとうございましたぁぁ!!文字数の関係で本作には感想を書けませんでした、…すみません……。 (2018年8月27日 21時) (レス) id: edcac17eb5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ばけモノ。 x他1人 | 作成日時:2018年7月19日 23時