イナズマイレブン～脅威の侵略者編～第7巻 (ページ26)

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（３０４）1人と1匹ページ26

蓮『セイ。思考が乱れている。今すぐにでも眠らなければ、生活リズムが狂ってしまうだろう』

聖羅「蓮……。…………」

蓮を抱き上げて、抱きしめる。

いつもの淡々とした機械らしい喋り方を聞いて、さっきまでのイライラが少し落ち着いた気がする。

聖羅「蓮は、さっきまでなにしてたの」

蓮『数分前までベニやチトセたちと一緒にいたが、抜け出してきた』

聖羅「あ、わかった。またジュリのヤツおまえに言い寄ったんだろ」

蓮『避けて通れないのであれば、仕方がない』

仕方ないとか言いつつ、押しに弱くてちゃんと対応しようとするのが蓮らしい。

あたしだったら葉月のヤツに近付かれると物理的に止めてる。

……大切な"物"は、ひとつでいい。

蓮のことを大事にしてるのはいつものことだし、壊れてほしくないし、もしものことがあったら、困るのは自分だからだ。

聖羅「……蓮」

蓮『何だろうか？』

聖羅「……、メンテナンスするから、部屋、戻ろっか」

蓮『ああ。だが、今は特に問題ない。データのバックアップだけをとって、メンテナンスは明日にした方がいい』

聖羅「は？なんで」

蓮『さっきも言ったが、セイは疲れている。今日はもう休んだ方がいい』

聖羅「…………」

……なんだかなあ。

蓮の生真面目な性格は、昔からずっとイライラしてたあたしを沈めてくれる。

だから、さっきまで色々考えてたことが、唐突にバカらしく思えた。

考えにふけるとどうしてもそればかりになって、思わぬ方向に考えが逸れてしまう。

蓮は機械だから意思はあっても自我があるワケじゃないし、あたしのことをちゃんと理解した上でその都度に適した対応をしているだけなんだろうけど。

そのおかげであたしは腹立だしくなってもちゃんと治るようになっている。

……円堂とかアイツらのせいでまたぶり返すけど。

蓮を抱え直し、廊下を歩く。

聖羅「れ～ん～」

あたしは蓮の頭をぐしゃぐしゃと混ぜた。

力加減なんてあたしにはわかんねーけど、普段の力が強いとなると少し緩めてやんなきゃなんねーな。

蓮『せ、セイ。遊ばないでくれ』

くすぐったそうに蓮が肩を竦める姿に、あたしは蓮の言う通り早く寝ようと思った。

……そして、起動させたまま本物の犬らしく蓮を寝かせてやろう、とも。