じゅうに ページ13
兄者に部屋の場所を教えてもらい、翌日退院する際に寄ってみる事に。
人が通らないタイミングを見計らい、ドアを開けてみれば
痛々しい姿をした、到底いつものAとはかけ離れた姿をした彼女が。
きっと、兄者は顔しか見えなかっただとか、そういう理由で熱中症になり一緒に運ばれたと勘違いしたのだろうけど。
とてもじゃ無いけど、健康な人には見えない。
たしか、会った時に交通事故…だとか言ってた気がする。
「…ほんとにAだ」
目の前に居るのは確かに生身の人間であり、いつも隣にいるAでしかなくて。
ずぅっと一緒にいたから、間違えることなんて無い。
死んだ…とか言ってなかったけ、聞き間違えてただけ?
きっと、本人も死んだと思い込んだんだ。生きてる、Aは生きてるんだ。
「幽体離脱…ってやつ…?」
目の前に居るのに、何も出来ないのが悔しい。
植物状態…とか?一人部屋だし、あまり良い状態ではないのだろう。
目の前にいる、Aがぴくりとも動かないのがとても悲しかった。
いつも元気に喋っているからこそ、余計にくるものがある。
「何かできる、だとか言えないけど…早く目を覚まして、俺の所においで。」
きっと、君と見る世界はあの海の様に綺麗だから。
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作者名:もっち | 作成日時:2022年7月2日 0時