その15 ページ41
神威さんに背中を押され、私は意を決して鬼兵隊のアジトに向かった。いつもよりも準備に取り掛かるのが遅かった為、少しだけ遅刻をしてしまったが、理由を知っていた幹部の皆からは特に責められもしなかった。
廊下を歩いていると、前方に見知った姿が。
私が不安気に神威さんを見つめていると、「どうせなら全部吐き出して楽になってしまえばいい」と彼は私を押し出して、颯爽とこの場を去ってしまった。
「...おはようございます」
「あァ」
気まずい雰囲気が流れる中、挨拶を交わす。
それから暫くの沈黙が走り、どう切り出そうか悩んでいると、
ーー「昨日は悪かったな」
まさかのあの人から謝られるとは思わず、予想外の出来事に目を見開いた。
「あ、いえ。仕方ないですよ、仕事ですし...」
そうじゃない。私が言いたいことは、こんな綺麗事じゃない。
またしても本心を打ち明けられず、心の奥底にモヤモヤとした感情が浮かび上がってくる。
どう打ち明けようか迷いながら思考を巡らせていると、目の前の彼が口を開く。
「...そうかい。それなら何よりだ」
その瞬間、私の顔に熱が集まっていく。思わず拳を握りしめて、何とか怒りを抑える私に、彼は決定的な一言を放った。
「...明日の夜なら時間は作れる。今までの埋め合わせをさせてくれねーか」
今までの私なら、その言葉を聞く度にきっと舞い上がっていた。でも昨日のあの出来事は、私に大打撃を与えた。
神威さんに協力してもらい、これ以上にないって位に着飾った。でも、目の前にいる彼は、そんなことすら知らない。
だからこそ、こうやってまた同じことを繰り返そうとしているんだ。
「...もういいです」
覚悟を決めて絞り出した答えは、震えていた。
「...あ?」
「もういいって言ったんです」
「どういう意味だ」
怪訝そうに顔をしかめる彼の横を、「そのままの意味です。失礼します」足早に去っていこうとするが、「待て。まだ話は終わってねェ」彼の腕がそれを阻む。
「私はもう話すことなんてありません」
「俺は終わってねェ」
「そうですか」
「テメーそのふざけた態度は何だ」
あからさまにイラついている彼に、思わず怯みそうになったが、
「誰がそうさせたと思ってるんですか!」
必死に彼を睨みつけながら、その手を振り払った。
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ソラ - りおさん» コメントありがとうございます!思い付きで更新しているため、不定期になってしまい、読書の方には迷惑をかけております汗なるべく更新していきたいと思っているので、よろしくお願いします!♪ (2020年2月12日 18時) (レス) id: c2cc8b33f9 (このIDを非表示/違反報告)
りお(プロフ) - 高杉さんかっこいい…… ここからの展開が楽しみすぎます、!!! そして主様更新頑張ってくださいッ (2020年2月12日 16時) (レス) id: f7e6660386 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - きょこさん» コメントありがとうございます!また更新が遅れて申し訳ないです...。きままな更新で行きたいと思ってますので、ちょくちょく覗きに来てくださると嬉しいです♪ (2020年2月12日 0時) (レス) id: 64cc8cd8ee (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - 沖田レイアさん» ありがとうございます〜!そう言って貰えると大変嬉しゅうございます♪亀更新で申し訳ないですが、最後までお付き合いくださいませ。。 (2020年2月12日 0時) (レス) id: 64cc8cd8ee (このIDを非表示/違反報告)
きょこ - 続き楽しみにしてました!これからの展開が楽しみー!はぁ…無理やり腕掴まれたい… (2020年1月28日 23時) (レス) id: 6828360e61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソラ | 作成日時:2019年10月30日 14時