検索窓
今日:16 hit、昨日:3 hit、合計:177,275 hit

その14 ページ40

神威さんの突然の行動の意図が掴めず考え事をしていると、完全に目が冴えてしまって、結局あんまり寝付けなかった。



「おはよう」



被っていた布団を剥ぎ取り、笑顔で挨拶をする彼は、いつも通りの神威さんで。
昨夜の出来事がまるで夢だったかのように思えた。



「行きたくない...」



そう言って彼の手から布団を奪い、頭まで被る。


「何いってるんだよ。ちゃんと行かなきゃダメだろ」

「...それ、神威さんに言われたくない」


憎まれ口を叩く私を無視して神威さんは続ける。



「行かないとシンスケともっと気まずくなると思うけどなァ」

「...うるさい。兎に角行かないったら行かないの!」


この年にもなって駄々をこねる事は恥ずかしい事だが、それほど本気で行きたくないのだ。

高杉さんと会ってしまったら、彼はまた埋め合わせをするとかなんとか言ってくるかもしれない。だけど既にそのやり取りも三度目だ。私はもう、あんな惨めな思いはしたくない。



恋愛はタイミングだ、と何かの本で読んだ事がある。
こんなにもタイミングが合わないなんて、高杉さんと私には、そもそも縁というものが存在しないのかもしれない。
そう考えると胸が傷んだ。



「もう傷つくのは嫌なんだもん...!」



既にアルコールは抜けている筈なのに、じわりと涙が込み上げてくる。慌てて指で拭うが、涙は止まらない。



「...大丈夫だよ」

「うぅっ...」

「言っただろ?素直になれって。本音でぶつかれば、シンスケもきっとわかってくれるさ」

「...そうかな?」

「今はただ運が悪いだけでこれからはもっと良くなって行くよ」



泣きじゃくる私の背中を、まるで子供をあやす様に優しく語りかける神威さん。その声が心地よくて、私は彼に身を委ねた。



「ありがとう、神威さん」

「どういたしまして」



彼には、助けられてばかりだ。

その15→←その13



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (130 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
239人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 高杉晋助
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ソラ - りおさん» コメントありがとうございます!思い付きで更新しているため、不定期になってしまい、読書の方には迷惑をかけております汗なるべく更新していきたいと思っているので、よろしくお願いします!♪ (2020年2月12日 18時) (レス) id: c2cc8b33f9 (このIDを非表示/違反報告)
りお(プロフ) - 高杉さんかっこいい…… ここからの展開が楽しみすぎます、!!! そして主様更新頑張ってくださいッ (2020年2月12日 16時) (レス) id: f7e6660386 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - きょこさん» コメントありがとうございます!また更新が遅れて申し訳ないです...。きままな更新で行きたいと思ってますので、ちょくちょく覗きに来てくださると嬉しいです♪ (2020年2月12日 0時) (レス) id: 64cc8cd8ee (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - 沖田レイアさん» ありがとうございます〜!そう言って貰えると大変嬉しゅうございます♪亀更新で申し訳ないですが、最後までお付き合いくださいませ。。 (2020年2月12日 0時) (レス) id: 64cc8cd8ee (このIDを非表示/違反報告)
きょこ - 続き楽しみにしてました!これからの展開が楽しみー!はぁ…無理やり腕掴まれたい… (2020年1月28日 23時) (レス) id: 6828360e61 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ソラ | 作成日時:2019年10月30日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。