【黒子のバスケ】未来へのキセキ XⅠ (ページ5)

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第505Q 棚からぼたもちページ5

日向感じた火神の雰囲気。
それは桐皇戦の時初めてゾーンに入った時と酷似していたのだ。

味方すら予測していなかった火神のゾーン、ベンチは慌ただしく動き始める。

正直この試合、火神のゾーンを期待していなかったと言ったら嘘であるが……

「ちょっと準備始めてAちゃん！
開始直後からなんて…想定していなかった…！」

試合開始直後から次々と点数を重ねていく火神。
その勢いは通常時と桁が違う。

しかし、この状況は誠凛が素直に喜べる展開では無かった。

「これってやばくねーか？
ゾーンって体力の消耗も半端ないんだろ？
このまま行って最後に保つのか？」

諏佐の疑問に、青峰は淡々と語り出した。

「…例えば風呂の浴槽にお湯をめいいっぱい張ったとすんじゃん。ゾーンに入った時はその栓を抜いたようなもんだ。みるみるうちにお湯は減る。」

「じゃあ…」

「保つわけねーだろ。なんか手を打たねーと
このままじゃ最後までどころか前半でガス欠だぜ。」

OFもDFもゾーン状態の火神の実力は"無冠の五将"を凌駕する。
洛山のスコアボードは凍りついたままで誠凛のスコアボードだけが忙しく動く。

「…よし、決めた。下手にブレーキかけるくらいならこのまま行くわ。」

リコのその言葉に周囲は目を丸くする。
ゾーンの体力消耗を考えると、この状態を切ることが望ましいのだ。

「そもそもゾーンは青峰君以外狙って入れるものじゃないわ。偶然の産物、棚からぼたもちのパワーアップよ。けど入ってしまった以上その力を借りない手はない…！
ただし火神君を攻守両面で酷使したらそれこそあっと言うに体力切れだわ。
DFを強化…火神君にはOFに専念してもらう。」

ボールがコート外に出た瞬間、選手交代のブザーが鳴り響く。
ベンチに戻る背番号は11番黒子であった。

「黒子が戻って、Aか。
DF力、そして今の火神のフォローならAが適任だな。」

Aとハイタッチを交わしベンチに戻る黒子であったがその雰囲気はまさにがっかりに近いものだった。

「ボク結構やる気全開で出て行ったんですけど…開始2分で…」

「そう落ち込むなって、観客も期待してくれてるしすぐにまた出番あるさ。」

「そうよ、あんたは温存の意味もあるんだから
今の内にしっかり休んどきなさい！」

「はい。」

小金井とリコの言葉に、黒子はおとなしく首を縦に振った。