【黒子のバスケ】未来へのキセキ XⅠ (ページ34)

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第534Q ３つ目のファウルページ34

そんな2人の会話に口を挟んだのは紫原であって。

「オレが『勝てない』って言ったのは状況だけを見た話じゃないよ～？」

先程からの日向の様子を見て、実渕はインターバルで赤司から伝えられた作戦を思い出していた。

「もはや勝負は9割方決まった、だがまだ9割だ。
誠凛はまだ完全には死んでいない。
特に4番シューターの日向と10番エースの火神、そして16番の橙野。この3人を今波に乗らせると万一の可能性がある。」

赤司の指示に対し、監督である白金は
一言も言葉を付け加えることはなかった。

「よって火神にはもう一度僕がつく。今度は立ち上がることができなくなるまで…。
それと日向は…玲央。１つで十分だが、可能なら２つとれ。それで彼はもう蚊帳の外だ。」

誠凛に1%の可能性もない。
それは無くなるということである。

何故なら赤司があの場にいるから。
彼は単に力尽くで勝つような雑な戦い方はしない。

赤司はねじ伏せない、徐々に首を締めて行くように相手の可能性が全て無くなるまで摘み取るのだ。

そして、それはもう目の前で行われていた。

実渕の【天】のシュートを囮に使った【地】のシュート。
直後、審判からホイッスルが鳴り響き日向ファウルが告げられる。

「短い間だけど楽しめたわよ順平ちゃん♡」

この日向へのファウルはわざと、そしてバスケットはファウル5つで退場。

この時点で日向のファウルは3つ。

「ちょっと待ってくれよ！今のオレ触ってない！！」

「早く手を上げて！」

思わず審判に抗議をする日向、伊月たちが止めに入るが日向は止まらなかった。

「まだだよ…誠凛。僕が手を緩めるとしたらそれは君たちが完全に絶命した時だけだ。」

もうこの時日向に理性は存在しなかった。
ファウル3つ目まで追い詰められた彼に、残ったのは勝利への執念。

「(ファウル３つ目…ちょっと待てよ。今オレは当たってないのに…)」

__________「勝つぞ最終決戦！！」

__________「日本一、それがオレたちの目標だからな。」

__________「例え手術した後どんな明るい未来があったとしてもオレは今お前らと一緒に戦いたいんだよ。」

脳裏に蘇るのは数々の思い出、
そして木吉のタイムリミットと約束。

込み上げる思いは言葉をのせ始めたのであった。