【黒子のバスケ】未来へのキセキ XⅠ (ページ31)

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第531Q 奇跡は起きないページ31

「……ん？？ちょっ、もしかしてオレこんだけ！？」

「何が？」

「いや、もっとレオ姉達みたくバーンと……
なんか見つかった珍獣とかみてーじゃん！！」

洛山のDFと言えど全く点が取れないわけじゃない。
けど、それだけなのである。

単発ではなにも変わらない。小兵が土俵際で多少頑張ったところでそれ以上の力で押し出されてお終いなのだ。

実渕の【地】のシュートにより日向ファウルが貯まる。
木吉も根武谷に力で勝てはせず、
伊月のボール捌きも少しずつ黛に取られ始める。

「…わかっただろうA、これが力の差だ。」

「試合が終わってからじゃないと、それはわからないでしょ？」

「諦めが悪いね。」

Aを振り切り、走り出す赤司
すぐさま彼女も追いかけるが葉山のスクリーンによりそれは防がれる。

赤司は黛に視線を送る。
その視線を確認した後、黛は微かに口角を上げた。

「(へぇ…珍しいな。テンション上がってるのか？いや…誇示か。)」

実渕からのボールをタップパスでゴール真上へ上げる。

そこに伸びていたのは赤司の腕。

「まさか……」

そのまさかは現実のものになる。
すらりと伸びた彼の手はボールをゴールへ押し込んだ。

「あ、アリウープ…！？」

173センチの赤司、彼がダンクを決めようと思うと火神以上の跳躍が必要となる。

それは頭脳だけではなく、身体能力も完璧であること示すものであった。

「お前ら大型選手の専売特許だとでも思ったか？
こんなものやろうと思えばいつでもできる。」

誠凛を身体で例えるなら、頭脳は伊月、腕は火神、心臓はリコ、両足は日向と伊月。

しかしどれもこれも現在、洛山により見事に圧し折られていた。

奇跡を起こすためには黒子が必要と、誰かがそう言った。
しかし、もうそれは手遅れであった。

特性という影の薄さを失った黒子が復活するのは無理な話、そして仮に復活できたとしても開きすぎたのだ。

点差も力も。

奇跡は起きない、起きても勝てない。

第2Q終了が告げられ、スコアボードが示す点差は40対62であった。