【黒子のバスケ】未来へのキセキ XⅠ (ページ4)

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第504Q 仲間のために戦う意思こそがページ4

ゴールへ向かう速さは今での比ではない。

その火神に立ちふさがったのは他でもない赤司であった。

「(赤司には天帝の眼がある。いくら火神が高くても跳ぶ前に一瞬で間を詰めてボールを奪うよ！)」

洛山の誰もが葉山のように思っていた。
しかし、この時の火神は彼らの否、味方の予測でさえ大きく上回っていた。

「(昨日の夜…黒子の話を聞いてから考えた。オレがもしあいつの立場だったら…どうしたろう。)」

昨晩、視野に捉えていたのは天井に取り付けられた電灯と火災報知器。

そして、隣を見れば規則正しい寝息を立てるAの姿。

「(お前が悪いと言ったけどそれだけが原因なはずがない…。殴れと言ったけど殴っても何も変わらなかったかもしれない。
きっと2人とも罪深く感じているのだろう、だが無かったことになんても出来ないんだろう…。
結局答えは出なくてモヤモヤして…とにかくこのモヤモヤを吹っ飛ばしてーと思った。

だから跳ぶんだ、湧き上がるこの気持ちを乗せて…)」

踏み切る足は右足。
火神を目の前にした赤司はその異変を感じる。

「なっ…(速い…まさかこれは！)」

その踏み切った場所は、
そして火神のフォームは流星のダンクであったのだ。

「(勝ちてぇ！！黒子と…Aと…みんなと…！！)」

ボールは赤司の頭上から叩き落とされゴールを貫く。
その様子を見ていた面々は確信を抱いた。

「大ちゃん、これって…」

桃井の言葉をきっかけに青峰の脳裏に蘇ったのは誠凛対海常の前、ストバスのコートにて火神にバッシュを渡した時に伝えた時であった。

__________「1回しか言わねーからよく聞けバカ」

「あんだと！？」

「いーから聞けようるせーな。ゾーンについて少し教えてやる。」

その言葉には先ほどまで喧嘩腰であった火神も言葉を失った。

__________「ゾーンに入るには人それぞれ異なる引き金がある。プレイに100%集中した理想的な精神状態の時その引き金を引くと人はゾーンに入る。
知ったからって引けるもんじゃねぇが知っといて損はねぇ。お前にとっての引き金は……」

今現在、目の前にいる火神には思わず青峰と赤司は口角を上げた。

「だからって、まさかいきなり入るかよ。」

「……面白いゾーンか。」

火神にとってのゾーンの引き金、それは〝仲間のために戦う意思〟。

ただ、それだけである。