第527Q 5年前のアドバイス ページ27
「伊月、オレにもボールくれ。」
「木吉…！」
「ちょっとオレも攻めたい気分なんだ。」
木吉の視線の先には、日向がいた。
ゴール下のポジション取り、今までよりも力強い木吉の圧に根武谷は「急にやる気出してきたじゃねぇか。」と呟いた。
「別にここまで手を抜いてきたつもりはないぜ、
ただそろそろオレもいいとこ見せんとな…！
勝負だ根武谷！！」
「……いいねぇ、オレも筋肉温まってきたところだ。
あん時のリベンジさせてもらうぜ！！」
リベンジについて、思い当たる節のない木吉だが
直後、背後の重さに目を丸くする。
「(コイツ…なんて重さだ…ビクともしない…！！)」
ボールを持った木吉はダンクを狙うが、根武谷のブロックによりボールはコート外へ弾かれる。
誠凛でNo.1の力を誇る木吉にもかかわらず力で根武谷に押し負けたのだ。
「なんて力だ……」
「おうそうだ力だ！
技なんて使った覚えはねぇよ！それよか木吉ぃ…」
顔に青筋を立てた根武谷、木吉に向かって湯水のように言葉が溢れ出る。
「テメェさっきのリアクション…まさか昔オレと戦ったこと忘れたんじゃねぇだろうな！？」
「？いや…対戦したことは覚えてるよ。」
「問題はその後お前が言ったことだよ！！ふざけやがって…覚えてねぇなら教えてやるよ…！」
それは遡ること、5年前。
まだ木吉と根武谷が中学1年生の時であった。
それは中学2年生に進級する直前の試合で、負け知らずだった根武谷は木吉に敗北を期した。
当時、根武谷のポジションは今と異なりPF。
木吉は当時よりCとして活躍していた。
しかしその試合、実力に加え体格が近かったことより根武谷のマッチアップとして木吉が抜擢された。
なのにもかかわらず根武谷は負けたのだ。
本来のポジションじゃない木吉に自分のポジションで完敗した。
そして試合後、木吉は根武谷にこう告げた。
「お前筋力はすごいけど、バスケは力だけじゃダメだぜ。技を磨けばもっと強くなると思うよ。」
その時根武谷は思った……
「だったらもっと筋肉つけてやる…ってなぁ！！」
「そっちに行くのか！！」と
その話を聞いてた全員が口を開けていた。
「日本人の悪い癖だぜ。
海外の選手に体格や力の差で負けたりすると、すぐに速さの正確さだのチームワークの技に走りやがる。」
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作者名：ざわわ | 作成日時：2019年2月27日 0時
