【黒バス】 君はもう僕のモノだ 【赤司征十郎】

３５　黄瀬くんには ページ36

家に帰りついた私は、鏡の前に走っていった。


首や鎖骨、胸のあたりまで、赤い痕がついていた。



…途端に、全身が震えだした。



あの時の黄瀬くんが…‘あの日’の先生に重なって見えた――――。


怖かった。

あの時も怖くて、でも逃げられなくて――。


誰かが助けてくれた。



『待て！A！！』



…征くん―――。






『こんな所で何をしているんだ？』




『君はもう僕のモノだ』




『僕には、君が必要だ。

だから……僕から離れるな』




『…約束してくれ。

何かあったら、必ず僕に言うんだ…誰よりも先に。

そうすれば、僕は君を守ってみせる…この世のすべてから』








言葉の１つ１つが浮かんでくる。



思い出すたびに、涙が溢れた。




でも……モドレナイ。



別の人に、こんなにシルシ、つけられて……。


平気な顔して、一緒にいられるわけがない。






そんな時、携帯が鳴った――――。





『もしもし…』



この声、黄瀬くん…？



黄瀬『…ホントに、悪かったッス。

許してほしいとか、そんな都合のいいことは考えてないッスから』


A「………」



何も、言えなかった。

黙っていると、黄瀬くんが口を開いた。



黄瀬「…Aっちは、オレがバスケ続けてもいいと思う？」


A「え…？」



バスケ…？



黄瀬「…赤司っちと話し合ったんス。

Aっちが、続けることを許してくれるなら、続けるッス。

でも、ムリだったら…バスケ、辞めるッス」




…耳を疑った。


黄瀬くんが、バスケをやめる…？




大輝やテツヤくんと楽しそうにプレーしてた姿が浮かんだ。




本当に嬉しそうで…見てるだけでも楽しそうだった。




…やめて、ほしくない。




A「…黄瀬くん」


黄瀬「…ん」


A「…黄瀬くんには、バスケ、続けてほしい。

それなら…きっと、今まで通りに、できるから…」




もし、黄瀬くんがバスケをやめてしまったら、私も辛い。


きっと、会うたびに後悔しそうになる。



まだ、バスケ部員の１人としてなら、話せる。




黄瀬「…ありがとッス、Aっち。

…それじゃ」





――電話が切れた。


…これで、よかったんだ。

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