十匹 ページ10
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あたふたするまた子ちゃんを無視してドアをノックした。
何故また子ちゃんがこんなに引き止めるかと言うと、彼は極端に人を部屋へ入れることを嫌うからだ。
「晋助様、Aです。お話があるのでまいりました」
「あァ、入れ」
「失礼します。ほら、また子ちゃん行くよ」
「は、はいっス……」
ドアを開けると段差があり、そこで靴を脱ぐ。
母船の廊下は土足なので各部屋に玄関のようなものがあるのだ。
トイレとお風呂のある短い廊下を抜け、晋助様の居るであろう部屋の襖を開ける。と、どうやら呑んでいる真っ最中だったようで。
晋助様は意外にも機嫌のよさそうに目を細めて笑う。
「なんかあったのか」
そんな晋助様の態度が気に入らなかったようで、体をピッタリとくっつけたおうのさんに睨まれた。
「いえ、許可を頂きにきました」
「ほォ……まあ、立ち話もなんだ。座れよ」
「はい」
い草の香る京畳に正座する。
生粋の江戸っ子である私にはあまり見慣れない淡い色。ちなみに私の部屋は江戸畳だ。
「……で、何があって、なんの許可を貰いに来たんだァ?」
「また子ちゃん」
「はいっス!今日部下達に稽古をつけていたんスけど、あからさまに私の命令を無視して、更には口答えをしてきたっス」
ほう、と翡翠の隻眼が細めれる。
「私達は今後この様な命令違反……上司に対する反逆をした者共への粛清許可を頂きにきました」
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coma7672(プロフ) - すいません!前のコメント間違えて送信してしまいました、、お話最高すぎます!更新楽しみにしています!! (2020年4月7日 23時) (レス) id: 46f7afe943 (このIDを非表示/違反報告)
coma7672(プロフ) - 高杉晋助 (2020年4月7日 23時) (レス) id: 46f7afe943 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田レイア | 作成日時:2020年1月12日 19時