引きこもりが愛されてしまった…【文スト】

元引きこもりが３３人。 ページ40

相沢side

『おっ…おはようございます』



小さく挨拶をして社内に入る。



乱歩さんのデスクに近づき、手にさげていたラムネと駄菓子の入った袋を差し出して言う。



『あの…これ、お好きでしょうか。よろしければ貰ってください』



乱歩さんは袋を開けて中身を見る。



「ラムネと駄菓子だあ、感謝するよ！えっと、相沢だっけ？



　ちょっとは使えるんだね！」



満足げに幸せそうな顔をしている。



よかった、拒否されたらどうしようかと。



『お気に召したようでよかったです』



そう言い、自分のデスクに向かおうとすると、乱歩さんがそれを遮るように言った。



「ちょっと待って」



袋を漁る乱歩さん。



何か探し物でもあるのか、と問うと




「まあそんなところかな」



と曖昧な返事をされてしまった。



そのまま数分経ち、「あった！」と言いながら袋のなかをごそごそして取り出した。



「はい、これ。



　この前はぼくが飲んじゃったから」



一個しかない、蓋の開いたラムネを私の前に突き出す。



『え、あ、あ、気を遣わないでください！



　これは、これからお世話になるから、その、意思表示？で…



　！？』



「いーのいーの」、と言われ瓶を口に突っ込まれる。



炭酸が口の中ではじける。



『あ、ありがとうございます』



「ふふん、よかったね、君はこの名探偵に気に入られたんだ！」

元引きこもりが３４人。→←元引きこもりが３２人。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す