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人虎 ページ1

『……父様。』



「嗚呼。」



『彼の人は何方様で?』



「嗚呼。」











『お父様ッ!!!聞いていらっしゃりますか!?』


「嗚呼、聞いているとも。」




私の問いに父は慣れたものだとでも言うような顔で語り出す。
何でも、彼の人は新入社員でーーーーーーー何より巷で有名なあの人虎らしい。




…全く、どうしてそう大事なことを早々に言わないのか。
そんなことを考えながら父さんの横顔を睨むと父様は懐から何かを取り出した。




『……!お父様、それって……!!』



「貯古齢糖だ。…颰會堂のな。」



『流石です!お父様!!世界で一番の自慢の父様です!!』



そう言い抱きつくと父は満更でもなさそうな顔で微笑む。
…これはまだ何か買ってくれそうだ。



そう企んでいると太宰と彼の新人ーーー中島が此方へ向かってくる。





新人は怯えた顔で、太宰は心底楽しそうな顔で。



「Aちゃん、お帰りなさーい。」

『…太宰。昨日、私の同級生を口説いたらしいですね。』




私がそう優しく太宰に語りかけると太宰はと笑みを浮かべたままヘラリと頭に手をやる。
その態度が返事とでも言いたいのか。…全く、何処までも巫山戯た奴だ。



『…入社早々、不運でしたね。新人君。』


「へ、…あ、いえそんな。」


『そう驚いた顔をしないで貰いたいです。』




きっと私の事をナオミと同じタイプだとでも思ったのだろう。
まだ、緊張が顔に出ている。



『お互い初めましてだ自己紹介でもしましょう。』



それだけ言うと私は父さんから離れ、中島君の目の前へ行く。



『私は福沢A。17歳。』


「あ、僕は中島敦。18です。」




『そうか、では中島くん、これから宜しく頼みますよ。』




「……はいっ!」



差し出した手を彼は力強く握った。








『…あ、早々ですが中島くん。一つ良い事を教えましょう。』



「?はい、何でしょう。」



『私に取り入っても給金は増えません。』



「…はぁ?」



『つまりですね。私のことは……Aちゃんとでも呼ぶと良いでしょう。』

『何なら、呼び捨てで良いです。ついでに敬語も外して欲しいな。』




「…!……はい!」

太宰→



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冬蜜柑美味い - テンポ…!褒められるの初めてです!!がんばります!! (2月2日 19時) (レス) id: 161dd8d243 (このIDを非表示/違反報告)
笹の葉 - 話のテンポが好きです!頑張って下さい!!! (1月27日 15時) (レス) id: 8035cab69c (このIDを非表示/違反報告)
冬蜜柑美味い - きんにくふぇち@他力本願。さん» ですヨネ!…でもそういうポジのお方グッズが少なくて…あ、涙が…… (1月15日 22時) (レス) id: 05bec6341d (このIDを非表示/違反報告)
冬蜜柑美味い - アキハさん» 超、嬉しいのですが!?頑張ります!! (1月15日 22時) (レス) id: 05bec6341d (このIDを非表示/違反報告)
きんにくふぇち@他力本願。(プロフ) - そりゃ社長好きっスよ……というかイケオジ好き。 (1月15日 21時) (レス) @page22 id: 5ebe7ae459 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冬蜜柑美味い | 作成日時:2024年1月5日 11時

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