【七種茨】最近副署長は社内デザイナーと仲がいい【あんスタ】

照れ屋 ページ25

「話してくれて有難う。」


にこりとまた、菩薩のような笑顔を見せてくれる。




「…………茨はね。」


「………？」


私から目を離し、遠くを見つめ、話し出す。
何を話すのかと思えば、私は次に紡がれた言葉に
一瞬耳を疑う。



「茨は、照れ屋さんなんだ。」


「……………は、はい……？」


「常に言葉や表情で自分をかためて、隠して、我々Edenが仕事をしやすいように色々なものを動かしてくれる。頑張ってくれてる。

………とても可愛らしいと思うんだけれど、茨はそれが常に『くせ』になってしまってるんだ。」


「………はい……………」




「自分じゃない、相手の都合の良い人格を演じる。

………私も、ライブで茨の言われた通りの人格を演じることもある。でも、それは少し疲れてしまう時だってあるんだ。」




「だから、………そうやって、自分を演じていないAさんといる時は、



…………茨は少なからず、リラックスしてるんじゃないかな。」




「…………………」






固まる私を見て、じゃあ、私はこれで。と、凪砂さんはESを後にしてしまった。



呆然と、その後ろ姿を見る。



茨さんが、私といる時、リラックスしている……………




あの空間は、茨さんにとって、ストレスじゃない………

…………って、こと、なのかな…。





小さいことに敏感で、すぐに気に病んでしまうのは私の悪い癖。


別に、茨さんが居心地が悪いって言った訳でもないのに。

ただの仕事仲間が、そこにいるだけじゃないか。




そう、ただの、仕事仲間と、同じ空間で休憩している。



それだけ……………








「Aさん」





「…………＿＿＿！」




ボールペンを握り尽くして、ぐるぐる思考を巡らせていた私の目の前に現れたのは


紛れもなく、茨さんだった。

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