爽やか ページ18
朝。
昨日の疲れが少しだけ残っているが、ベッドから這い上がり支度をし、家を出る。
今日は、午前中はパンフレットについてプロデューサー陣との打ち合わせ、午後はカメラマンに同行してEdenの撮影指示。夜は雑務。
2日目にして本格的に忙しくなってきたESでの業務。
それほど即戦力だと思われてるんだろうと内心やる気が出つつも、こういう人間がブラック企業に搾取されていくのかも………と己の流されやすさに落胆する。
それでも勇み足で電車を降りて、ゼリー飲料を飲みながらESへと歩いて向かう。
春だというのにだいぶ暑く、日差しが強い。
「ふあ〜……………」
ついこぼれてしまった大きなあくびが宙を舞うのと同時に、
後ろの方で「はは」と息の漏れたような笑い声が聞こえた。
ま、まさか…
「！……………………い、茨さん……」
「おはようございます。Aさんは、入社2日目にしてそこまでの大口を開けるほど、余裕がおありということですな！
いやはや、流石であります！」
「………………」
朝から嫌味MAXのお小言。
こんなにじんわりと日差しが照りつけているのに、汗ひとつなく、むしろ爽やかな笑顔を痛いくらいにこちらに向けてくる。
「……茨さんは、朝からお元気ですね。」
私なりのちょっとした皮肉を投げかけたつもりだったが、とんでもない！と爽やかスマイルでかわされてしまった。
1枚上手とは、このこと………。
「今日は11時から打ち合わせでしたよね」
「ええ。Adamの打ち合わせが終わり次第向かいます。本日は、夢ノ咲のプロデューサーも同席していただきますので。」
「夢ノ咲の？」
噂には聞いていた。
夢ノ咲学院在住の、プロデューサー科3年。
超敏腕プロデューサーの『あんずさん』。
たった1人でプロデューサー科を担っていた1年前、たくさんのアイドルに囲まれ、自分の業務に追われながらも数々の実績を残した、所謂超すごい人。
「そんなに身構えなくても大丈夫ですよ。彼女は。」
「そ、そうなんですか……」
その口ぶりは、おそらく何度か一緒に仕事をしたんだろうな。
『あんずさん』と。
ここで会話は終了し、いつもの沈黙のままESに到着。
「では、後ほど」と言い、茨さんはエレベーターに消えていった。
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斉藤ちく(プロフ) - ちびさん» コメントありがとうございます。とても励みになります！細々とですが続けていきたいです。ちび様もご自愛ください！ (6月9日 19時) (
レス) id: 43e5963b91 (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - はじめまして！いつも楽しく拝読しています。展開もドキドキワクワクで…とても楽しみにしております。雨が多く、ジメジメする時期ですが…ご自愛ください。これからも応援しています☆ (6月9日 7時) (レス) id: 190d57c004 (このIDを非表示/違反報告)
斉藤ちく(プロフ) - あめみやさん» コメントありがとうございます。ツンデレ茨からしか摂取できない栄養、ありますよね…。 (6月8日 14時) (レス) id: 771595aedb (このIDを非表示/違反報告)
あめみや(プロフ) - ツンデレな茨もまた良き (6月5日 22時) (レス) @page37 id: a179dcb416 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：斉藤ちく | 作成日時：2023年5月4日 18時
