予想外 ページ33
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「___ってゆー事があってさぁ」
も〜驚いちゃったよね柄にもなく、なんて笑い混じりに回想を終えた五条に、夜蛾が初耳だと唖然と声を零す。
顎に指先を添えて話を噛み砕いていた庵が顔を上げ、黒髪をサラリと揺らして首を傾げた。
「でもそれって解決した訳じゃ無いわよね。どうするの？」
「ん〜…ちょっとホントに複雑もいいとこみたいでさ、担任だからって首を突っ込んで良いのか図り兼ねてる」
「複雑、か」
「だってあの子、戸籍書き換えてんだもん」
「「「は？」」」
優雅に脚を組み替え茶を煽りながら落とされた爆弾発言に、その場にいた(楽巌寺除く)全員が目を剥いた。
凡そ高校生のやる事ではない。全く持って。
氷漬けにされたように固まる空気をものともせずに、男性にしては綺麗に手入れされた唇が音を紡いでいく。
「今の戸籍上では、叔父さんが実の親って事になってた。でも一色って叔父さんの苗字じゃないし、何か色々変なの」
「それ、一度ちゃんと話した方が良いんじゃ…」
「うん。だからAに叔父さんにアポ取って貰うよう頼んで少し話したんだけど、その人は問題なく良い人だったよ」
ピースを掲げてチョキチョキと動かしながら五条が言い、庵はその言動に軽く苛立ちを覚えつつそれなら一先ず良かったと肩を下ろした。
＊
何やら俺は運が良い。
もう3体祓えちゃったんだけど。すごい順調なんだけど。
そして俺は今耳を塞いで、スマホを耳に当てる狗巻先輩を玉犬と共に待っている。玉犬可愛い。
「��眠れ��」
狗巻先輩が此方を見た事で耳を覆っていた手を下ろし、玉犬の隣で立ち上がる。
「上手くいきました？」
「しゃけしゃけ」
ピースする先輩にピースを返して、戻れと呪言を受ける玉犬を見送った。
そして、さて次に行こうと2人並んで歩き始めた瞬間。
「！」
「えっ…」
禍々しい気配を感じて振り返り、服の中へ手を突っ込む。
セーフティを外した所で出て来たのは
「え……」
「…！」
カタカタと震え始める腕をグッと掴まれ、はぁっと息を吐き出した。
何でこんなのが居る？二級の筈じゃ？
そうして臨戦態勢に入った刹那
ザシュッ
と何かが切れる音が聞こえて、呪霊の首がゴロゴロと転がった。
腕を掴まれる力が強くなる。
ーー待ってヤバい
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作者名：瑠璃烏 | 作成日時：2021年4月29日 19時
