特級呪霊 ページ34
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ーーやばいヤバいヤバイやばい
何かよく分からない音が耳に届いて、でも何故か意味は理解できて。
ガタガタと手が震えて冷や汗が背中を伝う。
多分コイツに並の攻撃は効かない。なら弾の無駄は避けるべきだ。
そして今するべきなのは…
「せ、んぱい」
掠れた声で名前を呼んで、僅かな衣擦れの音が耳に届く。
腕を掴む手がふっと緩んだ瞬間、術式を発動して駆け出した。
今するべきは、逃げること。
まともに戦っても勝てない。格上だから狗巻先輩の呪言も乱発は出来ない。
術式を駆使して、取り敢えず命の危機から脱する事。
「ツナ！明太子！」
「は、はい！」
乾いて痛くなってきた目を閉じる瞬間に次のイメージを固める。
___全ての色を補色に変える
迫ってくる木の根に銃弾を浴びせたり斬ったり乗り越えたりして、何度も色を変えて変えて変えて走る。
変える度に木の根の攻撃が止んで、呪霊は減速した。
それを繰り返して建物のある所まで出て、2人で屋根の上を全力疾走する。
呼吸をする事と術式を発動するのを並行処理する事が難しくなってきて、狗巻先輩に声を掛けようとした時。
屋根の下に恵と京都の人を見つけた。
それで気が緩んでしまって、術式が解ける。
��逃 げ ろ��
先輩の声に反応して木の根に襲われる2人が散り、2人の所へ降り立って手早く目薬で眼球の粘膜を潤し特級呪霊と対峙する。
「何故高専に呪霊がいる。帳も誰のものだ？」
「多分その呪霊と組んでる呪詛師のです」
困惑する俺の背を叩く狗巻先輩がひとつ咳を零して、京都の人が何か知っているのかと恵へ視線を向ける。
恵は呪霊から目を逸らさず頷いて答えた。
「以前五条先生を襲った特級呪霊だと思います」
「襲った！？先生を？馬鹿なの！？」
「知らねえよ。…風姿も報告と近い。恐らく間違いない」
手で電話の形を作ってツナマヨ、と連絡を促す先輩と困惑する京都の人を横目に恵の背後からスマホに耳を近付ける。
「相手は領域を使うかもしれません。距離を取って五条先生の所まで後退____
瞬間、ほとんど反射で飛び退いた。
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作者名：瑠璃烏 | 作成日時：2021年4月29日 19時
