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叔父さん ページ25

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「はぁ〜っ!立派だねぇ!実家を思い出しちゃうよ」


「五条の家?」


「そ。まあもうちょい広いと思うけど」


「もうちょいなんてレベルじゃ無いんでしょどーせ」



あはは、バレた?なんてふざけて見せる先生に苦笑を返して、目の前にある立派な日本家屋のインターホンへ手を伸ばす。


8月中旬。夏真っ盛り。世の学生は夏休みだー!と家でゴロゴロしたり遊びに行ったりする時期だ。

残念ながら俺はさっさと二級に昇格を目指して見事それが叶ったので任務へ行く日々だけど。


そして今日は、俺の叔父…櫻内(おううち)淳司さんを先生と2人で訪ねて来た。

インターホンの音に続いて軽快な返事が聞こえて、ふっと表情が緩む。

少し待っていれば奥で扉の開く音が聞こえて、木製の大きな門へ駆け寄って来た要がパッと笑って鍵を開けてくれた。



「兄さん!五条さんも、よく来て下さいました」


「や、久し振りだね要くん」


「久し振り、要。元気そうだな」


「うんっ。淳司さんのお陰で何も問題なく過ごせてるよ」



ガバッと抱き着いてきた要の背をポンポンと叩いて体を離し、乱れた髪の毛をササッと直してやると少し恥ずかしそうに笑った。

ここじゃ暑いからと門の奥へ通され、先生は打つけないようにその白銀の頭を下げて家の戸を潜る。



「すみません、見ての通り日本家屋なもんですからスリッパなんかが置いてなくて」


「ああいえ。慣れてますから」



靴を脱いで棚へ仕舞っていると優しい声と先生の返事が聞こえて、パッと顔を上げた。



「淳司さんっ」


「やあ、Aくん。五条先生も態々遠くから来て頂いて…暑かったでしょう?」


「まあ毎日最高気温の記録更新してますからねぇ」



笑い混じりに言う先生の言葉に笑い声を上げて、淳司さんが指す廊下の奥へ皆んなで進んだ。

この家は随分古いんだけど、何やら要が来るに当たって綺麗にしてくれたらしく、昔ながらの装飾なんかはそのままに襖や障子は真新しい。

ピカピカな廊下を進む途中、先生が秀麗な彫刻の施された梁を見上げて感心したような声を零す。



「こりゃ凄い。壮麗だね」


「あはは、お恥ずかしい。それは私の習作でして」


「へえ。彫刻を?」


「まあそれなりに。でも彫刻刀で馬鹿みたいな怪我をしましてね、トラウマで…今はやめてしまったんですが」



それは失礼、と口をつぐむ先生に淳司さんはカラカラと笑い声を上げて首を振り、タンチョウの絵が美しい襖を開いた。


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作者名:瑠璃烏 | 作成日時:2021年4月29日 19時

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