四二、愛しい ページ42
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気付くと、左手が温かい。
覚醒し切らない意識もそのままに少し身動げば、微かな声と共に柔らかなサラリとした感触が腕に伝わる。
覚えのある感触にハッとして瞼を押し上げ、熱の元へ視線を遣った。
「A…」
予想通り、愛しい姿がそこにあって安心する。
でもその頬には涙の跡が見え、どこか申し訳ない気持ちもして手を握り返す。
確かチャクラ切れでぶっ倒れたんだっけ……
記憶を辿りながら小さく欠伸を零し、動こうとして出来ずにボフリと音を立てて枕に頭を沈める。
その音に反応したのかAは今まで寝ていた事を微塵も感じさせぬ動作で顔を上げ、眠いという素振りも見せずに目を丸くした。
握られた手に力が篭って、空いた右手が此方へ伸びてくる。
「…カカシ、さん…？」
「ん…おはよう」
「っおは、よう…ござい、ます…ッ」
途切れ途切れにその声が聞こえたかと思えば被さるように抱き付かれて、何とか自由の効く腕を彼女の背に回して頭を撫でた。
少し声が枯れていて、沢山泣いてくれたのだろうと予想がつく。
ああ…この子が隣にいるだけで、気分が良い。
動けない事への苛立ちが半減される。
胸に燻る汚い感情が浄化されていく。
柔らかな髪に鼻先を軽く擦り付けてから、ピタリと頬をくっ付ける。
温かな体温を感じて、思わず安堵のため息が溢れた。
「……ただいま、A」
「おかえりなさい…ッ、お帰りなさい…！カカシさんっ…！」
「ごめん、心配掛けて。でも大丈夫だから。そんなに泣いたらもっと目元が腫れちゃうよ…」
「だってッ…、っぅうう…！」
「ははっ、ごめんって」
唸るように泣き声を上げるAを抱き締める腕に力を込めて、首元に頬を寄せてくる体を包み込む。
自分の為に泣いてくれる存在なんて、いつぶりだろうか。
父さんはきっと一度くらい泣いてくれた。リンも…生きていたら、泣いてくれたかな。オビトは多分無い。ミナト先生は、多分だけど泣かないな。
もう居ない大切な人達に想いを馳せながら、勝手に頬が緩んで戻ってくれそうにない。
オレの腕の中で涙を流すこの子が愛おしい。可愛くて仕方がない。好きで好きで堪らない。息が苦しいくらいに愛おしい。
どうしよう
愛しさが湧いて湧いて、どうにかなりそうだ…
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Rai(プロフ) - 瑠璃烏さん» ありがとうございます！ (2020年11月5日 19時) (
レス) id: 1de574fab4 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - Raiさん» 機械がてんでダメなので手間取りそうですが…(ｰ ｰ;) (2020年11月5日 12時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - 恐悦至極でございます(T^T)こんな自己満小説を楽しんで頂けてうれしいです！お誘い、ありがたく受けさせて頂きます。ありがとうございます！ (2020年11月5日 12時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
Rai(プロフ) - やり方はペーストに画面そのまま押し、通常検索など出来る思いますこの作品も大好きでいつも読ませて頂いていますこれからの作品も頑張って下さい！ (2020年11月5日 11時) (レス) id: 1de574fab4 (このIDを非表示/違反報告)
Rai(プロフ) - 初めましてもしもご迷惑無ければご参加出来たら思いますもし無理でしたらお断りしても構いません。イベント後「https://uranai.nosv.org/u.php/event/kouooue/」「 あなたの小説読ませて下さい。」 (2020年11月5日 11時) (レス) id: 1de574fab4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑠璃烏 | 作成日時：2020年10月26日 18時
