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始まってすぐ、国木田さんは太宰さんに狙いを定めて全速力で走って行った。てっきり私か谷崎さんあたりを狙うだろうと思っていたら、効率より太宰さんへの恨みの方が強かったらしい。


とりあえず鬼にならなければこっちのものなので、とりあえずギリギリ見つからなそうな背の高い茂みの影に隠れる。ふふふ、厳密なルールを定めなかったのが仇となったな。ハンデがないと言っても男性陣はこちらを狙いにくいだろう。この勝負、もらった!


太「Aちゃん」

耳元で名前を呼ばれ飛び跳ねる。しまった、完全に油断してーーーーーー

太「ああ、安心してくれたまえ。私は鬼じゃないよ」

嘘じゃん。絶対鬼じゃん。

太「ふっふっふ、国木田くんを巻くくらい朝飯前というやつさ。Aちゃんと2人きりになりたくてね」

ぱちんとウィンクする太宰さん。世界一胡散臭い。


貴「はあ…え、どうしてですか…?」

太「まあまあ、その前に声を落として。」

わざとらしく耳元でぽつぽつ喋る太宰さん。くすぐったくて太宰さんの胸を押すけど、あっちは楽しんでいるようでにこにこしている。にこにこすな。

太「おや、顔が赤いようだけど、大丈夫?」

近い近い近い!早く用件を聞いてこの場から離れなくては。何かすごくいけないことをしている気がする。

貴「ッよ、用件は…」

太「ふふ。実はね、私はAちゃんにーー」

「見つけたッ!!!!」

太「!?」


太宰さんが何かを言おうとした瞬間、国木田さんの大きな声が聞こえた。私は反射的に逃げた。
太宰さんは体制的に逃げるのが一拍遅れたようで、しまったという顔で国木田さんに捕まっていた。

残り2分ちょっと。このままだと鬼は普通に考えて太宰さんだが、あの人なら上手く敦くん辺りになすりつけそうだ。


太宰さんが何を言いかけたのかは、とりあえずまた今度、適切な距離感で聞くことにしよう。うん、絶対にそれがいい。女性好きの太宰さんのことだから、十中八九からかわれているんだろうけど。


終了のホイッスルが公園に響いた。



与「いやァ、いい勝負だったねェ。みんないい運動になったんじゃないかい?」

微笑む与謝野さんと、落ち込んでいる太宰さん。結局2分じゃ誰も捕まえられなかったみたいだ。いや、捕まえなかったのか。

分からないが、とにかく一件落着だ。異能もそんなに派手に使うこともなかったし。私たちは揃って事務フロアに帰還した。

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飛花落葉(プロフ) - 最俺好きさん» ご感想ありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです!更新いたしました! (2021年8月26日 1時) (レス) id: 816599e0d1 (このIDを非表示/違反報告)
飛花落葉(プロフ) - Ylixeさん» 更新いたしました!よろしくお願いしますー! (2021年8月26日 1時) (レス) id: 816599e0d1 (このIDを非表示/違反報告)
最俺好き - 最高 、乱歩さん可愛すぎ、早くみたい (2021年8月24日 8時) (レス) id: fd9315de1d (このIDを非表示/違反報告)
Ylixe(プロフ) - 更新待ってます! (2021年8月23日 22時) (レス) id: e810b4e196 (このIDを非表示/違反報告)
サモエド人間 - 最高です。頑張ってください! (2020年3月24日 12時) (レス) id: 12dddfcf8e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛花落葉 | 作成日時:2020年2月8日 13時

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