【文スト】助手なんていらないんじゃ…２

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乱｢ぶえっくし！｣

威勢の良いくしゃみが人の少ない事務フロアにこだまする。隣の乱歩さんはうぅ、と言いながら鼻をかんだ。

貴｢風邪ですか？花粉症？｣

乱｢いや、風邪じゃないよ｣

寒くて、と身震いする乱歩さん。確かに厚めの上着を着てもこもこの靴下を履いているという女子みたいな格好だけど、ヒーターが無いのは流石に堪える。


そう、なんとエアコンがぶっ壊れてしまったのだ。

修理業社が来るのは2日後だなんだで、ストーブでなんとか凌いでいるが、今丁度灯油が切れており、｢僕が買ってきます！｣と元気な賢治くんと、国木田さんに｢敦もついていけ｣と言われてついて行った敦くんが買いに行ってくれている。ありがてえ。

そして国木田さんと太宰さん、谷崎さんとナオミちゃんも仕事で出掛け、与謝野さんも買い出しに出掛けた。


そんなわけで、今日も人が出払っていて、事務フロアにいるのは私と乱歩さんだけなのである。

最近こういうの多いな。まさかみんなが面白がってからかって…いやいやいやそんな、中学生じゃあるまいし。気のせい気のせい。


乱｢寒い〜…｣

机に突っ伏す乱歩さん。今日も愛らしさナンバーワンだ。にこにこしてしまう。手だけで仕事を進めながら｢寒いですね｣と相槌を打つ。



乱｢…ちょっと｣

貴｢はい｣

急に乱歩さんが体を起こし、ずいっと迫ってきた。
おおおお！？な、何！？

貴｢ちょっと乱歩さん、近…｣

乱｢今片手間で僕と会話したでしょ｣


う、ん？ああ、確かにそうだった……かな？
思考は完全に乱歩さんに向いてたけど、手は確かに仕事をしていたし、片手間と言えば片手間なのか。
｢す、すみません｣と言うと、ぷくっと頬を膨らませてそっぽを向いた。あざとい！こんな所業が許される26歳は乱歩さんだけだ！最高！


乱｢…あ、そうだ。許してあげるから、お願い聞いてよ｣


ああ、そういえばこの前そんな約束をしたかもしれない。鬼ごっこの必勝法を教えるとかなんとかで…結局乱歩さんの助言は直接役には立たなかったが、最初から何もしなくても私が負けることは無かったのだろう。乱歩さんには全てお見通しなのだ。それも見越してこの約束を取り付けたに違いない。


貴｢何を致しましょうか…｣

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