早口熱血漢×武闘派少女ってアリ？【早川充洋】Part10。

341**知らない** ページ23

陽和「……その時の負い目があるからっていうのが一番かな...。」

泉「いや、そんなの先輩仕方ないですよ。だって先輩はそのことを知らなかったんだから。」


話を聞き終わって私はそうフォローした。

というか、そうとしか言えなかった。だってこれはどうしようもないことだ。

陽和先輩は何かしたくても何もできない状態だったのだから。



陽和「……知らなかったで済ましていいのかな。」



ポツリとつぶやく陽和先輩の瞳からは涙がこぼれていた。

その涙は拭うことはされず、ただ、こぼれ続けた。



陽和「ボクね、知らなかったって言うのはただの言い訳にしか聞こえなくてね...

どうして察してあげれなかったんだろう、気づくことができなかったんだろうって、

大事な人が傷ついてるとき傍にいてあげられなかったんだろうって......」



その言葉に私は何も言えなかった。

私も知ってるから。自分が知らなかった、気づかなかった時の、仕方ないっていう状況の悔しさを。





「…だからって、それをお前も背負う必要なんてないだろうが。」





バンッと扉が開いて、そこに立っていたのは笠松先輩だった。


泉「か、笠松先輩！？！？どうしてここが…」

そう聞きかけると、早川が笠松先輩のすぐ後ろで小さくなって謝っていた。

笠松先輩は私の出かけた言葉に気にすることなく、陽和先輩のそばに行く。

早川「すまん泉!!笠松さんが泉に話聞きたいって言い出して...」

泉「あー...」



笠松「お前ってさ、昔から真面目で、頑固で、思い込みが激しいところあったよな。」

そう小言を始める笠松先輩に蒼井先輩も縮こまる。


「……でも、昔から俺はお前のそういうところを含めて好きだった。」

「え？」



何かポツリとつぶやいた笠松先輩が蒼井先輩を抱きしめた。



笠松「悪かった、不安にさせて。」

陽和「ゆ...ユキ？？」


笠松「俺正直焦った。お前がどこか遠くに行ってしまうことが悲しかった。嫌だった。

だから、頼むから俺から離れないでくれ。


俺も一緒に背負うから。


おばさんや母さん達に土下座だってする。

大学行って就職先探す。お前ともう一人養えられるような...


それまではきっと苦労かけるけど、それでもお前と一緒にいたいんだ!!

だから、頼むよ......俺から離れるとか言わないでくれ。」



陽和先輩の返事は聞かなくてもわかった。

その表情を見れば、わかった。



「.........ありがとう、ユキ。」

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