†漆佰肆拾肆† ページ5
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ここに居てはならない。
今の私は、災厄そのもの。
体がまだ動く内に、本丸を出て行かないと。
呪いに触れれば、皆たちまちその身に錆が出て、
一振り目の……燭台切様のように。
彼の記憶を見たその光景を、
不覚にも思い出してしまった。
ボロボロと、体が朽ちる感覚………
手が、足が、命とも言える本体が。
動かなくなって、それでも夜蝶さんを抱えて
最期まで本丸に向かってもつれながら
送り届けようとする姿が。
脳裏から離れない。
倶利伽羅様が見た光景。
友が、朽ち果てる姿を見る世界。
助けようと手を伸ばさても、空を掴むばかりで
そのまま目の前で折れる。
ドクッ!
『ッ!?』
傷が傷んだ。どうやら精神によっても
呪いの進行が早まるのかも知れない。
冷静で居なければ。
嗚呼でも呪いが悪い方へ思考を歩ませようと
耳元で囁いてくる。
どうしてもネガティブ思考になってしまう。
精神的に、既に参り始めてるみたいで、
私も紅羽さんみたいに心を壊してしまいそうだ。
『私の中にある邪気を、祓うには………』
やはり、祝ノ舞か………
必要な物は、鏡と勾玉と剣。
それらを用いて桜真が舞う必要がある。
鏡の代用は、加州様を封じていた
夜蝶さんの手鏡を。
勾玉は、母の………夜蝶さんの形見である
翡翠石のお守りを。
………最後は。
“剣”……か。
『(でも、皆には言えない。
霊力が満ちた彼らの本体を使った方が
本当はいいんだろうけど)』
いいや、代わりを探せばいい話だ。
とにかく私はもうここには居られない。
これは私の問題だ。
彼らは関係ない事だ。
何とか、迷惑をかけないように
自分が消える方法を探さないと。
Aside〜end〜
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慧(プロフ) - 鶴さんが健気…どうか報われますように (2020年4月12日 14時) (レス) id: e2c5fada44 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冷泉 雪桜 | 作成日時:2020年3月31日 14時