【刀剣乱舞】その縁、巡りゆく定め (ページ4)

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†漆佰肆拾参† ページ4

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『…………』

どうしたらいいのだろう。

長義様は私にかけられた呪いや犬神についての
情報収集の為に一度本丸を後にしたその背中を
見送ったまま…………

私は途方に暮れていた。

足がさっきから痛む。
私が妖怪に襲われたその日を
少し思い出したからか、
古傷の痛みが増した様に感じた。

獣に切り裂かれたような古傷は、
じくじくと私を侵して行く。
これが、呪い。
夜蝶さんが味わった、痛み。

今、私の頭の中は情報でいっぱいいっぱいだった。

私の両親が、夜蝶さんと紅羽さんで、
12の時に襲ってきた妖怪は、犬神で。
犬神の呪いが、私にもあって………
術で襲って来た犬神を忘れて、
黒田や父さんは私を生かすために………死んだ。

知らなかった………全然知らなかった。
でも、この事実を、皆に話しても良いものだろうか。
失望………されてしまうのかな。
ここに居られなくなって、
また居場所を失って………

周りに災厄を振りまきながら、
誰にも知られず朽ち果て………

解放される事なく、
邪神の器となってしまうのだろうか。

一人で、死ぬのか。

『(それは、やだなぁ………)』

でも………このままだと、私は死ぬ。
ただ死ぬだけじゃない。
不死なる邪神の新たな器となるだけ。

私が、皆を皆殺しにしてしまう。
一人は嫌だが、それだけは嫌だ………
僅かな時間でも、ここで過ごした時間は
尊くて、私が初めて心から
叶えたい願いばかりだった。

もう、辛い思いをしてほしくない。
汚い私だけど、これだけは。

絶対に…………

守らなければ。

『………ﾊﾊｯこれも、運命なのかな』

本当の、父と母が残したカケラが、
私だったと言う事だ。

きっと二人は願っていた。
他愛もない日々の幸せを………

そして願いは、命と言う形で
こうしてこの本丸にやって来たのだろうか。

なら、守らなければいけないものなんだ。
犠牲なんて、清いモノには必要ない。

『…………大丈夫、子守唄が、あるか、ら』

頬に伝うこれは、何だろうか。

いつも願っていた………
私はいつも一人だった。
誰かを傷つける事しか出来なくて、
神様の願いを叶える御用人をやっている間だけは、
清いなにかになれた気がして。

同時に自分の醜さに、失望して。

『(醜いものは、私だけなのだから………)』

でも今度こそは、清い存在になれる気がするよ。