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「鎮痛剤が切れてきたのかもしれませんね、点滴を刺します。少しチクッとしますよー」
腕に針が刺さり、少し顔をしかめる。
ちょっとだけ痛かった。
「他に気になるところはありますか。」
「いえ、他には何も…あ、」
「どうかされました?」
「私の身体、どうなってますか。ありのままを話していただければいいので…把握だけしておきたくて。」
「そ、それは」
女の人としなずがわさんが息を呑むのが聞こえた。
言い難いことをお願いしてるのは分かってるんだけど、それでも…一応。
「…非常に申し上げ辛いのですが…
右腕が無くなっています。
これは今日の騒ぎの前からのようですが、処置が雑で傷口が腐りかけていました。
ですので、今までは上腕部までありましたが……切り落としました。
それから、今回の出来事で左足も付け根から無くなり、両の瞳も失われました…」
「そう、ですか。
………わかりました、ありがとうございます」
「…胡蝶ォ。
一度席を外してくれるかァ?こいつと少し話をしたい」
「分かりました。
もし何かありましたら、すぐに呼んでください」
女の人…こちょうさんは静かに部屋を出ると、しなずがわさんと2人きりになった。
ところが何も話す気配が無いものだから、不安になってしまう。
「…あ、の?」
「すまなかった」
「え」
「俺が、俺がもう少し早くお前の異変に気がついていれば…今日、あの屋敷にもっと早く着いていれば。お前は腕を、足を目を、失わずに済んだはずなのに。俺のせいで、お前を一生かけても償えねぇ身体にしちまった」
「何言ってるんですか、貴方があの時来てくださらなかったら、私今頃ここにいません。死んでいたんです。それなのに、なんで貴方が謝るんですか?私はあなたに感謝しか無いのに…」
「いや、俺の責任だァ。
本当にすまなかった。
謝って済むもんじゃねぇとは分かってんだが」
「だから、貴方のせいでは…」
しなずがわさんはそれっきり押し黙って、何も言わなくなってしまった。
このままではそのうち腹を切るとか言い出しそうだ。
どうしたものか、私は本当に貴方には感謝しかないのに…むしろ、私が謝らなければいけないのに。
幸村に手紙を書かせて、貴方を騙すようなことをして、貴方を傷つけた。
だから、謝るなら私の方なのに。
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メロンパン - 完結おめでとうございます!めっちゃラスト良かったです!お疲れ様です。(*`・ω・)ゞ (2020年2月22日 14時) (レス) id: 783d8186db (このIDを非表示/違反報告)
智真(プロフ) - こんにちは!夢主さんの優しさと不死川さんの優しさが相乗効果してめちゃくちゃ優しいお話で、読んでてとても幸せな気持ちになりました!!これから2人が幸せに暮らしてくれるといいなあ、と、とても思いました(^^)素敵なお話ありがとうございました(о´∀`о) (2020年2月20日 7時) (レス) id: 809fa61cec (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - 桃缶さん» コメントありがとうございます!き、綺麗な文章にかけていましたか!!??初めて言われました、とてもとても嬉しいです…!ありがとうございます!これからも精進してまいりますので、何卒よろしくお願いします! (2020年2月17日 20時) (レス) id: 8446f3cd09 (このIDを非表示/違反報告)
桃缶(プロフ) - 普通に泣きかけて、ビビっちゃいました(笑) 綺麗な文章ですね!文から趣を感じれるなんて久しぶりですこれからも応援してます!! (2020年2月15日 20時) (レス) id: 0e3ac9e584 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - fmika2918さん» 暖かなコメントありがとうございます。今流行りのドロドロ恋愛は書けませんが、とにかく純愛をと意識して書いておりますゆえ、美しいと言っていただけてとても嬉しいです。次回作も頑張ります!ぜひ、見ていってくださいませ。 (2020年2月13日 7時) (レス) id: 8446f3cd09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハナ | 作成日時:2020年1月25日 9時