最後の手紙 ページ28
目を覚ますと。
うーん、この表現は少し違うような…正確には、意識が戻ると。
私は知らない布団の上で寝かされているようだった。
知らない匂いに、これは…知らない人?
誰かが私の手を握って寝息を立てている。
幸村にしては手が大きくてゴツゴツしているし、私の家族が私に寄り添ってくれるわけが無い。
「……あな、た、だれ…?」
喉が渇いて上手く声が出ない。
掠れた声が小さく漏れ出ただけだった。
身体は鉛のように重くて動けないし、力が入らない。
かろうじて指先を少し動かすと、そばに寝ていた誰かが飛び起きたのがわかった。
「おき、起きたのかァ…?!」
喉が辛くて声が出ないので、こくり、と頷く。
私の手を握る手が震えたかと思うと、すぐに離してどこかへ走っていってしまった。
…もう少し、握っていて欲しかったな。
それよりも、あの声は…聞き間違いでなければ、大鬼様から私を助けてくれた人の。
掠れた声の男の人。
その声色からも疲れが見えるのは、気のせいではないと思う。
私の意識が戻るまで、そばにいてくれたのかな、なんて…
「不死川さん、分かりましたから。
そんなに急かすのは辞めてください」
「あァ?!3日だ、ただの一般人が3日も目を覚まさねぇってのはおかしいだろォ!それが今日やっと目ェ覚ましたんだぜ、落ち着いてられるかァ!!」
ドタドタと騒がしい声と足音。
しなずがわ、さん?
貴方の名前は、しなずがわ?
バン!と大きな音を立てて扉が開くのがわかった。
女の人が大きなため息をついてから、私のそばに座る。
全部おそらく、だけど。
「こんにちは。起きてらっしゃいますか?」
こく、と頷くと女の人はほっと息をつく。
「そう、良かったです。
先程不死川さんが…あ、この煩いおとこの人なんですけど。
その人がいったみたいに貴方3日も意識が戻らなかったんですよ。起きたのが奇跡みたいなものです。よく頑張りましたね。
声は出せませんか?痛い所はありますか。」
「のど、かわ、い、て…」
「そうでしたか、すぐに気付かずにすみません
…これを飲んでください」
口に何か筒が当てられて、そこから水が流れ込んでくる。
すぐに喉が楽になって、声が出るようになった。
「あり、がとうございます…痛いところは、左足が少し痛んで…あ、左足ないんだった」
部屋に重々しい空気がただよう。
不味い事言ったかな、?
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メロンパン - 完結おめでとうございます!めっちゃラスト良かったです!お疲れ様です。(*`・ω・)ゞ (2020年2月22日 14時) (レス) id: 783d8186db (このIDを非表示/違反報告)
智真(プロフ) - こんにちは!夢主さんの優しさと不死川さんの優しさが相乗効果してめちゃくちゃ優しいお話で、読んでてとても幸せな気持ちになりました!!これから2人が幸せに暮らしてくれるといいなあ、と、とても思いました(^^)素敵なお話ありがとうございました(о´∀`о) (2020年2月20日 7時) (レス) id: 809fa61cec (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - 桃缶さん» コメントありがとうございます!き、綺麗な文章にかけていましたか!!??初めて言われました、とてもとても嬉しいです…!ありがとうございます!これからも精進してまいりますので、何卒よろしくお願いします! (2020年2月17日 20時) (レス) id: 8446f3cd09 (このIDを非表示/違反報告)
桃缶(プロフ) - 普通に泣きかけて、ビビっちゃいました(笑) 綺麗な文章ですね!文から趣を感じれるなんて久しぶりですこれからも応援してます!! (2020年2月15日 20時) (レス) id: 0e3ac9e584 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - fmika2918さん» 暖かなコメントありがとうございます。今流行りのドロドロ恋愛は書けませんが、とにかく純愛をと意識して書いておりますゆえ、美しいと言っていただけてとても嬉しいです。次回作も頑張ります!ぜひ、見ていってくださいませ。 (2020年2月13日 7時) (レス) id: 8446f3cd09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハナ | 作成日時:2020年1月25日 9時