胡蝶の手紙 ページ13
「不死川さん、平井家という家をご存知ですか?」
以前、胡蝶にそう尋ねられたことがある。
丁度、アイツと手紙の交換を始めてから半年が経った折りだった。
「名前くらいは聞いた事がある。
確か、花屋敷で有名だったかァ…」
「えぇ、そこです。
その平井家なんですが、少し前からお館様に調査を依頼されていました。
お館様の読みでは、あの家は鬼と何らかの関わりがあるかもしれない、と。
…多くはありませんが、人里離れた集落やお金持ちの華族は裏で鬼と手引きしているところもあります。
平井家は、その可能性が非常に高いとお館様が仰りました。」
鬼と手引きする華族。
それは、別段珍しい話では無かった。
鬼に贄として人を捧げる代わりにその家の安泰や繁栄をもたらす。
また、その集落を他の鬼から守る。
そうすることで、被害は減る。
そして鬼は苦労もせず、着々と力を付けていく。
「んでェ?どうだったんだァ」
「それが、全く内部に入り込めないのです。
情報収集をしても、手に入るのは『年中花が咲き乱れる美しい花屋敷』とだけ。
それで、確か不死川さんの屋敷は平井家の屋敷と同じ管轄にあることを思い出しまして。
何か、彼らのことについて知っていることがあれば、と。」
「…ねぇなァ、役に立てないですまねェが」
「そうですか、分かりました、ありがとうございます。」
その会話からひと月経った、年の瀬だ。
アイツが体調を崩したという手紙を寄越して少しした頃、胡蝶の鴉が手紙を持ってきた。
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風柱、不死川実弥様
以前お伺いした、平井家のことで大きく分かったことがありました。
情報収集にご協力頂いた節もありますので、一応お伝えしようかと。
結論から言いますと、やはり平井家は鬼と深い関わりにあったようです。
平井家では、家の安寧と繁栄、
そして花屋敷として一年中屋敷の花を美しく咲かせることを引き換えに、
当主の子供…長女が18を迎えた次の満月に鬼に捧げる 、という風習があるそうです。
恐らく、平井家には既に"長女"はいるようなのですが、何せ隠すのが上手いものですから…
その"長女"が今何歳なのかが分かりません。
下手に動くと鬼や平井家を刺激してしまう可能性も高いので、もうしばらく様子を見てから動く、というのがお館様からのご指示でした。
以上で報告を終わります。
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メロンパン - 完結おめでとうございます!めっちゃラスト良かったです!お疲れ様です。(*`・ω・)ゞ (2020年2月22日 14時) (レス) id: 783d8186db (このIDを非表示/違反報告)
智真(プロフ) - こんにちは!夢主さんの優しさと不死川さんの優しさが相乗効果してめちゃくちゃ優しいお話で、読んでてとても幸せな気持ちになりました!!これから2人が幸せに暮らしてくれるといいなあ、と、とても思いました(^^)素敵なお話ありがとうございました(о´∀`о) (2020年2月20日 7時) (レス) id: 809fa61cec (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - 桃缶さん» コメントありがとうございます!き、綺麗な文章にかけていましたか!!??初めて言われました、とてもとても嬉しいです…!ありがとうございます!これからも精進してまいりますので、何卒よろしくお願いします! (2020年2月17日 20時) (レス) id: 8446f3cd09 (このIDを非表示/違反報告)
桃缶(プロフ) - 普通に泣きかけて、ビビっちゃいました(笑) 綺麗な文章ですね!文から趣を感じれるなんて久しぶりですこれからも応援してます!! (2020年2月15日 20時) (レス) id: 0e3ac9e584 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ(プロフ) - fmika2918さん» 暖かなコメントありがとうございます。今流行りのドロドロ恋愛は書けませんが、とにかく純愛をと意識して書いておりますゆえ、美しいと言っていただけてとても嬉しいです。次回作も頑張ります!ぜひ、見ていってくださいませ。 (2020年2月13日 7時) (レス) id: 8446f3cd09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハナ | 作成日時:2020年1月25日 9時