passion〜12 ページ25
愛したい。愛されていたい。
無理だってそんなこと、知っている。
「…あらざらん この世のほかの 思ひでに 今ひとたびの あふこともがな ____
私は幸せなの。
ずっと昔、この歌を詠んだ人と違って、死ぬ前に愛しい人にあえた。
それだけで、十分だから」
私は微笑みかける。
目にはやはり涙が溜まっていた。
今くらい、私は泣き虫だと思われていい。
側にいたい。
できるものなら、永久に。
別に縛り付ける意味はない。
普通の人のように、ひとつ屋根の下で笑っていたい。
私は溢れ出す涙を手で拭う。
取り乱してごめん、と謝ろうとすると、彼は突然私を抱きしめて、言った。
「A。
ずっと隣にいてほしいんだ。
例え敵どうしであろうと、構わない。」
「え……?」
その言葉は全くスムーズに入ってこなかった。
「法的には成立しなくてもいい。
婚約のような状態でもいい。
___一緒にいてくれないか、A。」
信じられなかった。
あまりに信じられないものだから、細かく噛み砕いてからでないと返事ができなかった。
「……」
口をポカンと開け、目を見開く。
益々涙が溢れる。
やっとのことで意味を汲んだわたしは、弱々しい声音で言った。
「______はい。」
此処に、うわべは『加賀A』、事実上『渚A』と言うひとりの女が、存在するようになったのだ。
187人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
下弦 - いえいえ、コメント見てくださりありがとうございます。これからも応援しています!! (2015年11月18日 16時) (レス) id: e33d5cb0ec (このIDを非表示/違反報告)
紅坂紅子(プロフ) - 下弦さん» コメント有難うございます。こちらのミスでした。修正しましたのでよろしくお願いします。 (2015年11月17日 22時) (レス) id: 9397b1a88e (このIDを非表示/違反報告)
下弦 - すみません、初コメです。私の方がバグっていたら申し訳ないんですけど、28ち29が同じ話になってるんです。少し不安になって。長文失礼しました。これからも頑張ってください。 (2015年11月17日 21時) (レス) id: e33d5cb0ec (このIDを非表示/違反報告)
暗部の桜(プロフ) - とても面白いです。続き待ってます (2015年8月31日 21時) (レス) id: 3141487925 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - もうこの作品大好きです!!ニコニコしながら読ませていただいてます! (2014年9月14日 10時) (レス) id: 0c3a8a5087 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:紅坂紅子 | 作成日時:2013年6月12日 21時