passion〜11 ページ24
「ねえ。
…どうしてあなたが此処に居るの？
あなたは私達のような人と違って危険と関係ない、単に一般的な市民だと思って安心していたのに。
ねえ。どうして？」
落ち着いた私は彼に問いかける。
嫌われてしまうかもしれない。
何か、傷つけるかもしれない。
でも、知りたかった。
この奇跡の生い立ちを。
そして、何故こんな場所に、”運命を仕組まれた”人間が来るはずだった場所に彼が居るのかを。
勿論、彼は良い表情はしなかった。
傷つけた、と自戒しても、無駄だと一瞬思った。
(私やっぱりダメな女だ。)
「すまない。」
彼の口から零れたのは罵りでもなく、別れの言葉でも無かった。
「え…」
「僕は嘘をついていたんだ。A。ずっと、嘘を。
」
さっと理解ができなかった。
「嘘…？」
「ああ。
僕は本当は、エヴァのパイロットなんだ。
僕が揃えばこの世界の中のエヴァのパイロットは全員揃う。
このことを知っているのは今NERVの土地の中にいる数人、そして、君ただ一人。」
一つ、疑問が晴れたような気がした。
私が意識を手放す少し前、宙に現れた謎の機体。
覚醒しゆく初号機にロンギヌスの槍を投下した、あれのパイロットは彼だったと言うのか。と。
「それじゃあ、６年前に初号機にロンギヌスの槍を刺したのはあなたなの…？」
「ああ。」
それ以上のことを聞きたかった。
でも無理だった。
聞きたくない、と身体が声を上げているように、涙が溢れる。
「大変だったのね。
__ごめんなさい。
もし私があなたの嘘を見破れたなら、それを共有できれば、それでよかったはずなのに。」
私は自然と彼の胸に身を寄せた。
そして考えた。
病気のことを言うか否かを。
心配掛けたくない。
だけど、嘘は付きたくない。
意を決して、深呼吸をした。
「私からも、一つ悲しいお知らせがあるの。」
「なんだい」
彼はゆっくりと抱きしめた。
「私、もう人ほど長く生きられない。」
彼は何も言わず抱きしめ続けた。
「小さい頃に発病した病が再発して。
長くて10年だそうよ。」
殺風景な部屋を沈黙が包む。
「いずれ、私はWILLEに帰らないといけない。
生きて会えるのは、これで最後かもしれない。
…よかった。
死ぬ前に今一度会えて。」
もっと、もっと伝えたいことはあった。
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下弦 - いえいえ、コメント見てくださりありがとうございます。これからも応援しています！！ (2015年11月18日 16時) (
レス) id: e33d5cb0ec (このIDを非表示/違反報告)
紅坂紅子(プロフ) - 下弦さん» コメント有難うございます。こちらのミスでした。修正しましたのでよろしくお願いします。 (2015年11月17日 22時) (レス) id: 9397b1a88e (このIDを非表示/違反報告)
下弦 - すみません、初コメです。私の方がバグっていたら申し訳ないんですけど、28ち29が同じ話になってるんです。少し不安になって。長文失礼しました。これからも頑張ってください。 (2015年11月17日 21時) (レス) id: e33d5cb0ec (このIDを非表示/違反報告)
暗部の桜(プロフ) - とても面白いです。続き待ってます (2015年8月31日 21時) (レス) id: 3141487925 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - もうこの作品大好きです!!ニコニコしながら読ませていただいてます！ (2014年9月14日 10時) (レス) id: 0c3a8a5087 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅坂紅子 | 作成日時：2013年6月12日 21時
