passion〜9 ページ22
「それでは」
私は深く一礼をし、その場を後にした。
その後の事の運びは驚くほどに早く、翌日にはもうNERVに乗り込んでしまっていた。
私ただ一人が、VILLEの人間として潜入する__
広いNERVの敷地。
その中に、私を6年前殺そうとした犯人がいる可能性があるということくらいなら百も承知。
もしも、その犯人が未だに私を殺そうとしているのであれば、あ生きているのであれば、さっさと殺して欲しいとも思う。
そう。
私には生きる希望はないから。
あの人が…カヲル君が、ツバキのいない世界なんかで生きる希望なんて、ないから。
生きてなんかいられない。
「ここで命果ててもいいかもしれない。」
誰もいなさすぎる、元NERV本部。
潜入どころか散歩になっている。
身体が耐えられるかもあるが、走るのはなるべく避けた方が良いと言う医師の言いつけで走ることができないからだ。
と言うわけで私はここに到着してからぶっ通しでウロウロしている。
潜入捜査なのに捜査にならない程に今のところ何もない。
いずれは重要そうな何かにたどり着くとは思うものの、簡単には行かないのは知っている。
「いつになるか…」
呟いてからも足を進める。
すると、私の耳に飛び込んできたのは懐かしいピアノの音色だった。
忘れられない音色。
あの人の音色だった。
生きている筈がないだろう、そう思っていたあの人の音色。
信じられなかった。
弾け出すような喜びと心配に包まれながら、一歩一歩音の方向に歩みを進める。
そして、たどり着いた音の出処。
そこには、奇跡が待っていた。
一本の木の下にあるピアノ。
銀髪に、紅い瞳。
あの弾き方をするのはあの人だけ。
(カヲル君…!)
私は嬉しさのあまり失神してしまい、バタン、とその場に倒れ込んでしまった。
気を失っている間、私は夢を見た。
幸せな、幸せな夢を。
そんな夢を見るのは一体…
何年ぶりだろうか。
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下弦 - いえいえ、コメント見てくださりありがとうございます。これからも応援しています!! (2015年11月18日 16時) (レス) id: e33d5cb0ec (このIDを非表示/違反報告)
紅坂紅子(プロフ) - 下弦さん» コメント有難うございます。こちらのミスでした。修正しましたのでよろしくお願いします。 (2015年11月17日 22時) (レス) id: 9397b1a88e (このIDを非表示/違反報告)
下弦 - すみません、初コメです。私の方がバグっていたら申し訳ないんですけど、28ち29が同じ話になってるんです。少し不安になって。長文失礼しました。これからも頑張ってください。 (2015年11月17日 21時) (レス) id: e33d5cb0ec (このIDを非表示/違反報告)
暗部の桜(プロフ) - とても面白いです。続き待ってます (2015年8月31日 21時) (レス) id: 3141487925 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - もうこの作品大好きです!!ニコニコしながら読ませていただいてます! (2014年9月14日 10時) (レス) id: 0c3a8a5087 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅坂紅子 | 作成日時:2013年6月12日 21時