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passion〜2 ページ15

「あの…ツバキは?

ツバキは生きているんですか?助かったんですか?」



元々、いい知らせが来る可能性は少ないと思っていたが、案の定その様だった。



私はコズエさんの表情を読み取ったんだろう。



何度も何度も、同じようなことを問うた。



「大丈夫ですよね?

ツバキだもの。生きているんですよね?」



「落ち着いてください。

…分かりました。

あなたには真実を伝えましょう。

例えどんなことであろうと、受け入れられますか?」



「はい。」



私は荒くなっていく呼吸を整えながら、答える。



「ツバキはあの日、あなたを思いながら死んでいったわ。」



「…」



私は言葉も出せずに黙り込む。



私がツバキを傷つけて、しかもその後も顔を見に行くこともなくて。



勿論、まだ謝ってさえいない。



大好きな親友だからこそ、言いたくても自分が傷つくのが怖くて。



ずっと逃げていた。



それに対してツバキは…



「有難うございます。加賀さん。」



「えっ…」



「あなたが昔のツバキを取り戻してくれた。

…実はね、あの子は昔、いじめに遭って、人を信じれなかったの。

家族でさえもね。

…でも、あなたと出逢ったことで、人を信じることを思い出してくれた。

そして、最期も人を思って死ねたのよ。」



ツバキにそんな過去があったとは知らなかった。



私はツバキと話していて、そのような事実は全く感じなかった。



もっと寄り添ってあげられる余地はあったのだ。



それなのに。



私は事故の後、寄り添いもしなかった。



ただ、ツバキとコズエさんに申し訳無くて仕方なかった。



涙が溢れる。



「お墓って、ありますか?」



「ええ。」



「でしたら退院後、墓前に花を手向けたいんです。」



私の精一杯の謝罪。



精一杯の『ありがとう』をきちんと伝えたい。



その一心でコズエさんから許可を貰った。

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下弦 - いえいえ、コメント見てくださりありがとうございます。これからも応援しています!! (2015年11月18日 16時) (レス) id: e33d5cb0ec (このIDを非表示/違反報告)
紅坂紅子(プロフ) - 下弦さん» コメント有難うございます。こちらのミスでした。修正しましたのでよろしくお願いします。 (2015年11月17日 22時) (レス) id: 9397b1a88e (このIDを非表示/違反報告)
下弦 - すみません、初コメです。私の方がバグっていたら申し訳ないんですけど、28ち29が同じ話になってるんです。少し不安になって。長文失礼しました。これからも頑張ってください。 (2015年11月17日 21時) (レス) id: e33d5cb0ec (このIDを非表示/違反報告)
暗部の桜(プロフ) - とても面白いです。続き待ってます (2015年8月31日 21時) (レス) id: 3141487925 (このIDを非表示/違反報告)
- もうこの作品大好きです!!ニコニコしながら読ませていただいてます! (2014年9月14日 10時) (レス) id: 0c3a8a5087 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅坂紅子 | 作成日時:2013年6月12日 21時

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