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数学の授業。
グミは一人悩んでいた。
この授業の目的がわからない。
なぜ、先生は問題の解き方を教えてくれないのだろう。なぜ、ほとんどを生徒に任せるのだろう。
あのときの国語みたいに、各々が立ち上がり、移動し、教え合うという時間だ。
やっぱりグミはひとりぼっちで、声をかけようにも、他人から断られたり、さげすまれたりされるのがこわくて話をかけることができずにいた。
しかもグミは国語や美術音楽が得意という文系な反面、数学や理科などはとても苦手であって、黒板にかかれた問題を番書したノートは、それだけであとは真っ白だった。
「きっと初音さんなら……」
あちらもやっぱりで、沢山の人だかりができていて、ミクはたくさんの人に教えていた。
「ここが………で、………して、、そうそう、そういうこと！できるじゃん！」
笑顔で教えて、その上きちんと褒める、まさしく先生のようだった。
「忙しそう………」
呟きは教室中の生徒による声でかきけされる。
「…で、そこは……だから、…なって…。うん！上出来だよ！」
ミクは理系。数学、理科、あと体育が得意な反面は、国語と音楽が大の苦手だ。
いつもの教室の隅の席に目をまわせば、グミはひとりで悩んでいる。
まただ。また彼女に話しかけられない。
いや、今度こそこのやからを振りきってグミちゃんに教えてあげるんだ…！
「ねぇ、私も動いていいかな？」
できるだけさりげなく、自然に言ってみた。
『えー私ここわかんないんだけど…』
彼女らはまだミクと話がしたいようだ。ミクはとっさに言い訳を考える。
「う… あの、ほら！休み時間教えてあげるからさ！」
するとこう返される。
『その子を休み時間に教えればいいじゃん〜』
確かに言うとおりだが。しかし彼女は休み時間になると本の世界にダイブしてしまう。しかも真ん中辺りにしおりを挟んでいたところからすると、いいところだ。展開が盛り上がってる部分に違いない、なおさら話がかけられない。
ここはあの言葉を使っちゃおう。
するとミクは両手を顔の前であわせて下をぺろっとおちゃめに出してみせれば、
「ミクちゃんのおねがいっ！」
どうしてもなの、とつけたした。
『まぁ、ミクちゃんのお願いだっ！断れないなぁ〜もう、ミクだけだよ〜？そういうので許してもらえるの！』
といって諦めてくれた。よし、はやくグミちゃんのところに行かなければ、とノートとペンを持って、グミの席へ向かうのだった。
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作者名：蛍灯 | 作成日時：2019年11月14日 22時
