12.粟田口の狐 ページ13
食事を済ませ、堀川と加州と歌仙を部屋に待機。長谷部と不動と巴形は、粟田口部屋へ行く際の護衛として連れた。
「それにしても主はとても大きい」
巴形が私を見上げる。ありがたきお言葉です。
.
粟田口部屋へ着くと血塗れの障子が完全に締め切られ、その中心に札のような物が貼られていた。
「恐らく白山の札でしょう。奴は元々政府の刀なので、今でも札を色々と作っています」
「この札めちゃくちゃ強いんだよ。力入れて開こうにもビクとも…」
ギギ…ギィイイイイイ……、バキッ…!
「「え?」」
長谷部と不動が何かを言っていましたが、無視して無理矢理こじ開ける。すると意図も簡単に障子は縦に開いた。そう、縦に。
次いでに言いますと、二面共外れました。
「(????待て待て、こいつ縦に開けたぞ??普通障子って縦に開くか?どれだけ力強いんだよ)」
口が開いた不動を置いて、障子を立てて部屋の中へ。目を凝らせば、二人は壁に背を付けて膝を抱え蹲っていた。
「誰ですか…っ」
半面を被った彼、鳴狐の隣にいた狐がふらりと立ち上がり、もう一匹の白狐も唸り毛を逆立てる。本当、何処の狐も話すのですね。
貴『私はこの本丸の審神者となるAAです』
「さ、審神者!?帰ってください!!近付かないで!!っ鳴狐!白山殿!起きてくだされ!!」
ボロボロの二振は虚ろな目を向ける。
「審神者…人間、…兄弟……、殺さなきゃ…」
「鳴狐……、私が…やります」
白山が刃先を向け、戦闘態勢に入ろうとする。
「…これ以上近付いてみてください?私が、鳴狐の分まで、兄弟の分まで…貴方の心の臓を刺しますよ?」
その刃先は微かに震えている。彼の表情も、あれでは殺そうにも無理でしょうね。
気にせず彼らの前まで進んだ。
「ち、近付くな!!」
「っ!」
ガブリッ!!ガブッ!!
「「「主/A!!」」」
狐の二匹が足首とふくらはぎにそれぞれ噛み付く、血がドロドロと流れて行く。二匹を引き摺る様に、白山たちの前へ進む。
「よしなさいっ、来るなっ…来るな!!」
ザシュッ…。
白山の刀が心臓を刺さる。と同時に、彼は青ざめた表情を見せた。
「白山っ」
貴『とても楽しいですか?とても気持ちいいですか?』
絶望する彼とは逆に、私は口元に弧を描いた。
貴『人を斬る快楽は、どんな感じですか?』
人を殺した事はありませんが。血を貰う時の強引に首筋に噛み付く、その瞬間の快楽さと言えば何とも言えないのです。同じものでしょう?
180人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
小夜 - 面白いです。続き読みたいです! (2020年4月28日 17時) (レス) id: a4e120fc5e (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 面白かったです (2020年2月15日 8時) (レス) id: 7c49b78205 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Graecia devil sardine | 作成日時:2019年12月31日 18時