傷痕 ページ10
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ある日、太陽の浴びても平気だと分かった。
元より陽の光に嫌悪感を感じてはおらぬ故、大丈夫だろうと思ってはおったが。
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さておき、無一郎と有一郎が心配で、約3ヶ月もの間獣の姿で居座った。二人には親が居ないらしく、去年から二人でこの森の中に暮らしている様子。
それで別に人の姿に戻れなくはないが、その隙が見つからない。鬼が狩れず、腹が減っている。二人は魚や兎の肉や小鳥を与えてくれるが、あれでは全く足りない。栄養価が鬼以上に低すぎる。
餓死はやはりきつい。
む｢紅葉、元気ないよ｣
ゆ｢もう秋だからな。ただでさえ取れる獲物も少ない、このまま冬を迎えれるか分かんないな。もしかしたら越す事も無理かも…｣
心配など無用。それよりもこやつらがこんな森ではなく、人のいる場所へ行かせたい。鬼から守ることは出来無くとも、大人が居れば力強いだろう。
ゆ｢安心しろ紅葉！俺がちゃんと、大きな獲物捕ってやるからな！｣
有一郎が手に竿を持ち、川の方へ行こうとする。妾も立ち上がり、無一郎を背に乗せ後を追う。
む｢…金太郎になった気分｣
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チャプン…、竿のおもりが川の中へ投げられる。この川は、意外にも大きな魚が釣れる。
ゆ｢今日は20匹釣れるまで帰らない！｣
む｢それはちょっと……｣
おもりが水の流れの中で浮いては沈むを繰り返し、ついにそれは深く潜った。
ゆ｢来た！｣
有一郎が大きく竿を引くが、魚が釣れない。力が強いのか、彼の方が徐々に引かれている。瞬間、竿を手放してしまい、竿は川下の方へ流れて行った。
ゆ｢っうわあ！！｣
む｢兄さん！！｣
有一郎は体制を崩し、濁流に飲み込まれる。無一郎が飛び出そうとしたのを止め、有一郎を追って河辺を駆けた。大石の少ない場所を見つけ、その隙間から川に飛び込む。
ザバンッ。
犬かきならぬ狼かきで川下へ回る。そこに有一郎が流れて来て、体毛を掴んだ。
ゆ｢ゲホッ…、紅葉…ありがとう…｣
このままでは風邪を引いてしまう。有一郎を口に咥え、反対側の河辺に上がった。無一郎は心配そうに見ているが、此方の様子に気付き安堵の表情を浮かばす。その直後、風が吹いたと思えば、右の前腕が斬られていた。
？｢オイオイ、…ンでこんな真昼間から異形の鬼が居ンだァ？｣
正面にある石の上で仁王立ちしておるのは、顔や身体に傷の痕が残っている男。その双眸からは物凄い執念と、殺意を感じられる。
？｢…予想以上に随分でけぇな、テメェが巷で噂の獣の異形か｣
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虚(プロフ) - とても良い作品ですね！お気に入り失礼します！好きです(((更新楽しみにしています！ (2020年3月7日 0時) (
レス) id: 7c0e52b0b9 (このIDを非表示/違反報告)
Graecia devil sardine(プロフ) - ユラさん» コメントありがとうございます！前に遊んだスマホアプリに出てきた女の子の話し方を真似てみました。 (2019年11月23日 12時) (レス) id: 890b359372 (このIDを非表示/違反報告)
ユラ - 面白いです！夢主さんの喋り方めっちゃ好き… (2019年11月23日 12時) (レス) id: 98acb8ec1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Graecia devil sa-thin | 作成日時：2019年11月13日 20時
