妖拐かし ページ11
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傷だらけの男は手に持った刀の先っ走りを、妾に向け笑みを浮かべた。
?「その餓鬼をどうしようとしたかは知らねぇが、テメェ…鬼だろォ?殺す」
此処では川が血塗れになる。有一郎を置き、森の方へ走った。見られることの無いように、奥の奥まで。
?「逃がすかよォ…」
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ゆ「紅葉…、あれ?」
突然男に斬り落とされた紅葉の前足は、音も無く変形して行く。それは狼の手ではなく、柔らかな人の手。
それは斬り口から塵となって行き、風に吹かれて消えてしまった。
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遠くへ、遠くへ。そこで脚を止め、後ろを振り返る。
?「…んだよ。鬼ごとはもう終わりかァ?」
変化を解く。パサリ…と着物が現れ、そこから手を出し外に這い出でる。
凛「…何事も観察は大事やえ。人皆、見掛けですぐ判断するんは悪い事ぞ」
すぐに着物を着直し、こっぽりを履く。斬られた腕は治ったが、着物は袖が少し破けてしまった。
大事なものであったのに。血鬼術により“獣化”し、頭上に獣の耳が生え、大きく開いた口元を左袖で隠し目を細めた。
?「だがテメェは鬼だろォ?鬼は殺す。それだけだ…」
凛「…そうしたいならばすればいい、妾は構わない」
?「随分と余裕そうじゃねェか」
凛「そう見えるか?なら、早く殺せば良いだろ」
その言葉に男は青筋を浮かべ、刀を構え走り出す。
?「風の呼吸、陸の型…。黒風烟嵐!!!!」
刃が腕に触れた直後、金属音と共に刀が弾かれた。
男は目を見開き、一定の距離まで遠ざかる。
凛「やっぱり、ダメか…」
?「…テメェ…何しやがった!」
凛「何もしてない。だが妾は、一度斬られると二度と斬る事は不可能。身体がそうなっているからな」
?「…ッチ、それが…どうしたァっ!!!!」
男は頸を狙って力強く刀を振るう、がそれも虚しく鋼の音と共に弾き飛ばされる。幾度も幾度も男は急所目掛け刀を振るうが、刃は通ること無くついに亀裂が入った。
?「…はぁ、…はぁ。くそっ!!何でだァ!!」
それでもめげずに刀のを持ち直し、全速力向かって来て型を繰り出そうとした。矢先、
?『伝令!伝令!風柱、及ビ獣ノ鬼!直チニ本部ヘ連レ帰レ!!獣ノ鬼ハ、生キタママ確保セヨ!』
鴉が、喋っている。腹の虫が鳴いた。そう言えば腹が減っていたのを忘れておったな。
?『赤イ獣ノ鬼、名前ハ不明!直チニ捕エ本部ヘ連レ帰レ!!繰リ返ス…赤イ獣ノ鬼、』
鴉が飛び発った一瞬、両手両足を縛られ布で猿轡と目隠しをされた。
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虚(プロフ) - とても良い作品ですね!お気に入り失礼します!好きです(((更新楽しみにしています! (2020年3月7日 0時) (レス) id: 7c0e52b0b9 (このIDを非表示/違反報告)
Graecia devil sardine(プロフ) - ユラさん» コメントありがとうございます!前に遊んだスマホアプリに出てきた女の子の話し方を真似てみました。 (2019年11月23日 12時) (レス) id: 890b359372 (このIDを非表示/違反報告)
ユラ - 面白いです!夢主さんの喋り方めっちゃ好き… (2019年11月23日 12時) (レス) id: 98acb8ec1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Graecia devil sa-thin | 作成日時:2019年11月13日 20時