何気ない ページ17
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不死川に寝巻きを借り、帯を締めて貰った。
不｢(筋肉がある割に細過ぎだろォ…)｣
凛｢かたじけない。感謝するぞ、不死川｣
髪を乾かし縁側に座り月を眺める。綺麗な三日月だ。
不｢…どうしたんだよ｣
凛｢この数年、外を見るためにあのお方の元を離れ、夢が叶ったと思っておった。だが、何処かおかしいのだ。…満たされた気がせぬ｣
永年、一人で外に出たいと思い、いざ外へ出て自由の身となった。それなれど何かが物足りぬ。
凛｢すずろに、胸のこの辺がすーっとするのだ。もやもやとする｣
あやしき心地。冷たくて、無いはずの穴が空いているような。
不｢お前、それァ“寂しい”っつう感情だ｣
凛｢寂しい｣
不｢……そんなに鬼舞辻が恋しいかァ？｣
瞬間、組み敷かれ天井が見えた。やや充血した目で、首に手を付けてくる。今の妾であれば、首を絞めてしまえば逝けるのだろうか。彼の手首を掴み、更に首を圧迫するよう引く。
凛｢締めま欲しくば、絞めよ。すまはねば｣
不｢……｣
するりと手を離した。なになり、あぢきなし。
不｢お前、怖くねェのかよ｣
凛｢何がなり｣
不｢……俺が仮にお前の首を本気で締めれば、“死ぬんだ”とか思わねェのか？｣
首を振った。
凛｢怖くはなかえ、なかなか、自決ももう数え切れぬ程した｣
飛び降り、首吊り、切腹、服毒、溺水、斬首、窒息、酸欠……。長時間苦しく藻掻くだけで、辛いだけ。
忍ぶとも、旦那様に分け与えられた血が、妾の命を簡単に逃す筈もない。
不｢…そう 凛｢それとな」？｣
凛｢あの方にそうしているとバレて、見つかれば罰を与えられる｣
不｢…罰？｣
凛｢座敷の床でまぐわうのだ。一晩中｣
そう応えると、不死川は青ざめ肩を震わせた。何か、あやしきことを言っただろうか。
凛｢だがまぐわいは、あの方が出向いている時は毎晩のようにやっているぞ。不満を抱かせぬ様、妾からも言っている。嫌ではない、12を迎えてからずっとずっとそうであったから…｣
不｢…も……い｣
もう、いい。そう言い首に手を回して、抱き締めてきた。いかでかしけむや。そう思っている間にも、無言のまま更に力が強まり、憐れみの匂いがした。
泣いているのか。
不｢可哀想だ…｣
可哀想…？
何故、お主が泣くのだ。哀しくなる必要などなかろう。妾は苦しくもない、旦那様も酷くはない。泣く理由など、一つもない筈だろう。
不｢憎めねェんだよ。…どうしても、お前だけは｣
全く人間とは、感情とはよく分からぬな。
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虚(プロフ) - とても良い作品ですね！お気に入り失礼します！好きです(((更新楽しみにしています！ (2020年3月7日 0時) (
レス) id: 7c0e52b0b9 (このIDを非表示/違反報告)
Graecia devil sardine(プロフ) - ユラさん» コメントありがとうございます！前に遊んだスマホアプリに出てきた女の子の話し方を真似てみました。 (2019年11月23日 12時) (レス) id: 890b359372 (このIDを非表示/違反報告)
ユラ - 面白いです！夢主さんの喋り方めっちゃ好き… (2019年11月23日 12時) (レス) id: 98acb8ec1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Graecia devil sa-thin | 作成日時：2019年11月13日 20時
