【D.gray-man】 Sorry but Goodbye -Secondo-

「でも、俺嘘はついてないさ。」 ページ27

「大丈夫だ。だから何も心配すんな。」

そういって、リーバーさんは優しく微笑んでくれた。
でもその微笑みに、私は微笑み返すことはできなかった。
嫌なことがあった直後の、あのざわざわとした感触がなかなか私から離れてくれない。
胸元で力強く拳を握りしめてみた。

なんでこんなに、気になってしまっているんだろう。
でもまるで自分の陰口を言われたような、自分の存在を認めてもらえていないような、そんな不快な気持ち…。

やっぱり人間関係は難しい。苦手だ。

「…A？」

名前を呼ばれて振り返る。
真っ先に目に入ったのは、白衣を着ていないということ。それは、化学班の人じゃないということ。
次に目に入ったのは、燃えるような赤い髪とそれをまとめるバンダナ。

あぁ、いつも人を安心させてくれる笑みを浮かべるんだ。

「ラビ！」

思わず頬を綻ばせてしまい、私はラビに駆け寄った。
長期任務に言っていたクセに、ラビは頬にかすり傷と腕にかすり傷だけで帰ってきた。
私だったら命を落としていたんだろうなぁ、流石ラビ…とすかさずネガティヴな思考が邪魔をする。

「どうしたんさ？」

近づいてくる私を、ラビは不思議そうな顔で、慣れた手つきで頭を撫でる。
何だか温かくて心地いい。
目を細めながら、私はラビの質問に首を傾げた。

「何が？」
「すっごく不安そうな顔してんさ。」
「え、嘘っ」

慌てて自分の頬に触れる。
でもちゃんと笑っているはずなのに。どこに不安な表情なんてあったのだろう。
眉間を揉んでみるけど、おかしいな眉も寄せられていない。

上を見上げてみると、ラビが笑いをこらえながらこちらを見下ろしている。
瞬時に朱が走る私の頬。

「か、からかいましたねラビさん！？」
「ぶはっ、なんで敬語なんさ？」
「酷い…本気かと思ったのに。」

今度こそ眉を寄せて口をへの形に曲げる。
怒ってはいないが、不機嫌だ。

それを見たラビは、悪い悪いともう一度頭を撫でてきた。

「でも、俺嘘はついてないさ。」
「え？」

問いかけた瞬間、私の両頬がぐみーんと引っ張られた。
え、ちょ、痛い！地味に痛い！

「いふぁっラフィ、いっふぁい！はなふぃへ！」
「…ぶふっ…ラフィって誰だ…」

肩を震わせながら笑い出すラビ。
何でもいいけど早くその手を離したまえ。いや本気で痛い！
これでも私乙女なんだから手加減というものをですね…

「Aは我慢するのが得意なんさ？」
「え？何が？」

寧ろ苦手な方だけど。特に食欲。

「なんか私が…否定されている気がして。」→←「…私、何か間違ったことしちゃいましたか…？」

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