「…私、何か間違ったことしちゃいましたか…?」 ページ26
「――と、いうわけで…その、今日のみ、皆さんの給仕は…私が受け持つことになりましたッ…ふ、不備があれば申し付けください!あ、あと、給仕以外でも何かしてほしいことがありましたら、遠慮なくッ…!」
両手を前で合わせて、がちがちに固まった体をぺこりと折る。
見知らぬ環境、知らない人ばかりの生活で人見知りはましになったと思ったが、やはり化学班の人たちという無数の人たちの前に立つ行為は慣れることはないようだ。
何度かどもりながら、顔を赤くして一生懸命喋る。
すると、「頑張れー」と聞き慣れた声が何個か聞こえる。
これはきっとジョニー君たちの声だ。うん、こういう時にこうやって応援してもらえると本当にうれしい。
「っていうかいつの間に給仕役の人がいなきゃ機能しなくなったんだ?」
ふと知らない化学班の人が声をあげる。
その人を筆頭に、ざわざわと疑問があがる。
「給仕役なんていたのか?」
「今までリナリーちゃんがコーヒーを配っていたことだろ?」
「あれ、室長の妹さんの趣味でやってただけなんじゃ?」
「俺ら別にコーヒー自分で淹れられるしなぁ…。」
これはもしかしなくても歓迎されていない雰囲気だろうか。
どうにもそうだと言い切れない空気である。
別に彼らは私のことをいらないと言っているわけではない。
ただ、私が何のためにいるのかについて疑問を持っているのだ。
給仕役なんていなくてもうまく回るのに、何故わざわざ給仕役が必要なのか?
その質問は、何故かなんとなく私自身を否定されたような気がしてうすら寒くなった。
「まぁ、いいじゃねぇか。」
俯いたまま何も言えないでいると、いつもの低くて暖かい、それでいて威厳のある声が響いた。
リーバーさんだ。
化学班の班長であるリーバーさんは、責任者というだけあって立場が上だ。
それだけ威厳があるというわけで。
「俺らが自分で飲み物頼むより、飲み物がこっちに来た方が効率いいだろ。」
その一言で、反論は一気に収まった。
でも権力にものを言わせて黙らせたという感覚が拭い去れなくて、私は俯いたまま服の裾を握りしめた。
「…リーバーさん…」
「A、大丈夫か?」
「…ありがとうございます。」
「気にすんな。」
ぽんぽんと軽く叩くように頭が撫でられる。
いつもは慰められるそれも、不安を掬い上げてはくれなかった。
「…私、何か間違ったことしちゃいましたか…?」
不安にまみれたその声は、震えを隠せずにいた。
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∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - ログ@エネさん» ちょっw興奮しすぎじゃき( 読んでくれてありがとう!少しずつ二人の仲を近づけていきたい!…です( (2014年5月17日 19時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
ログ@エネ(プロフ) - おおおおお?ついに?ついに?ラビへの思いに気づくか? (2014年5月17日 0時) (レス) id: 4873300096 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - 夏みかんさん» そんな嬉しいこと言わないでください…マジで感激で泣いちゃいますよ>< 本当にありがとうございます!いつも閲覧頂き、感謝の気持ちでいっぱいです。これからもどうかよろしくお願いします! (2014年5月12日 17時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
夏みかん - 素晴らしいです。あぁ、めっちゃ好きです!更新頑張って下さい。 (2014年5月12日 15時) (レス) id: 6748ba7e6c (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - 羽さん» 楽しませることができて光栄です!更新、頑張らせていただきますね^^ (2014年5月3日 23時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:
作成日時:2014年1月12日 15時