【D.gray-man】 Sorry but Goodbye -Secondo-

「退院、したぁああー！」 ページ25

それから一ヶ月。
ちょっとずつ外出許可が出る頻度が上がり、今日ついに...

「退院、したぁああー！」

嬉しさのあまり医務室の目の前で両手を万歳させて叫んでしまった。
病室の中から婦長の「煩いわよ！」という声が飛んできた。
確かに叫んだけど、婦長の声の方が煩いと思う。

あぁもう嬉しすぎて浮き足立ってしまう。
だってもうあの真っ白い部屋に戻らなくていいんだよ！？
そろそろあの部屋がトラウマになるところだったんだから！

「Aちゃん！今日退院だったわよね？」
「リナリーちゃん！いつも様子見に来てくれてありがとうね。おかげさまで時間通りに退院できました」
「ふふ、おめでとう。」

子供っぽいVサインを出す私に、大人っぽく笑みをこぼすリナリーちゃん。
精神年齢の違いが伺い知れる。恥ずかしい私。

「ちょうど良かった。私、これから任務があるの。だから、科学班のみんなの給仕...Aちゃんに頼める？」
「え、早速本番！？」

この一ヶ月の間、修行に修行を繰り返した。
今では、お湯が飛び跳ねたときに飛び上がるくらいまでに上達した。
お豆の心配をする余裕も出てきたし、蒸らしも出来るようになった。
コーヒーだけじゃなくてお茶も入れるようになった。
中国茶がこんなにおいしいとは知らなかったし、その他のお茶もおいしい。

だけどぶっつけ本番を私にやれというのか。

まるで絶望を味わったような顔をしていると、リナリーちゃんが面白そうに笑った。
そしてぽんぽん、と私の肩を自信づけるようにたたいた。

「Aちゃんなら大丈夫。ずっと特訓に付き合ってた私が言うんだから間違いないわ！」
「うぅ...本当に無理だってぇ...」
「じゃあラビに付き添ってもらえば？」
「え、ラビ帰ってきてるの？」

実はラビは今回長期任務に出ていたらしくて、あの日お見舞いに来て以来ずっと帰ってきてない。
ずっと溜め込んだものを優しく受け止めてくれていたラビにはお礼を言いたかったのに...どこに行ってしまったのかさえ聞いていない。
今日帰ってくるなら教えてくれるだろうか。

「うん、多分そろそろ教団に帰ってくると思うよ。」
「そっか。教えてくれてありがとうね。」
「じゃあ私はそろそろ行くわね」
「行ってらっしゃい、気をつけてね！」

ばいばい、と手を振って、去り行くリナリーちゃんの後ろ姿を目で追った。
ぶっつけ本番の件についてをうまく流されたという事実に気づいたのは、リナリーちゃんの姿が見えなくなってからだった。

「…私、何か間違ったことしちゃいましたか…？」→←「う、うん…頑張る！」

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