(ラビの奴…!) ページ42
「思ったより広いさ、この汽車…」
「ようやく一等席の車両を抜けたよ…」
私は手さぐりに傍にあった「3」と書かれた板にふれる。
どうやら一等席の車両は3車両もあったらしい…いや、そんなバカな。
でもどうやら15車両あるらしいし、2階建てってことも考えれば…あれ、どうなんだろう…。
混乱してきたからひとまず考えるのをやめて前を歩くラビについていく。
時折何人かの人たちとすれ違ったが、皆私たちを珍しいものを見るような目で見てくる。
そりゃあエクソシストって知ってる人少ないし、私達の服装って目立つしなぁ…
ラビの大きい背中を見ながら、いつしか森の中でもラビは先を歩いていたことを思い出す。
いつだって頼もしい背中なのだと、思わず微笑んでしまった。
「ん?何笑ってるんさ、A」
「なんでもなーい!」
「変な奴」
歯を見せるようにラビが笑う。
笑われているのに嫌悪感は全くしなくて、温かい感じがした。
そのままラビはまた前を向いてしまったけど、それでも私の笑みは消えないでいる。
「食堂って上の階だよな?」
「うん、確か4と5号車の間に上へ行く階段があったはず」
「じゃあもうすぐだ」
どうやらこちらは二等席の車両のようで、一等席と比べるとなかなか狭そうだ。
それでも住み心地は悪くなさそうで、何人か笑顔を浮かべた家族連れを見かけた。
上の階には食堂だけではなく、スパやゲームセンターなどエンターテイメントも充実していて、どうもこの9日間を退屈させないように設備は整っている。
勿論その分、値段も上がるが。
「お父さん、早くゲームセンターに行こうよ!」
「おいこら、前見なさい前!」
息子を連れた父親が私たちの横を通り過ぎて、前の階段へと消えていく。
微笑ましい光景に、私は思わずくすりと笑ってしまった。
「なーんかデートみたいさ」
「うわぁ、タラシがよく言う常套句。 流石ラビ、過去に彼女は何人?」
「違ぇーって!」
そろそろからかうのが癖になってきた、と言いたいところだが…
振り向いてくれるな、と切実に祈った。
そんな素振りを見せないラビに胸を撫で下ろした。
そして両手で頬を包む。
いつも以上に熱いような錯覚を覚えた。
熱を帯びたような頬は、きっと傍から見て真っ赤なのだろう。
(ラビの奴…!)
何気なく、まるで今日の天気を告げるように爆弾投下していきやがって。
本当腹立たしいったらありゃしない。
これじゃあしたくなくても、意識してしまうじゃないか。
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∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - ログ@エネさん» ちょっw興奮しすぎじゃき( 読んでくれてありがとう!少しずつ二人の仲を近づけていきたい!…です( (2014年5月17日 19時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
ログ@エネ(プロフ) - おおおおお?ついに?ついに?ラビへの思いに気づくか? (2014年5月17日 0時) (レス) id: 4873300096 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - 夏みかんさん» そんな嬉しいこと言わないでください…マジで感激で泣いちゃいますよ>< 本当にありがとうございます!いつも閲覧頂き、感謝の気持ちでいっぱいです。これからもどうかよろしくお願いします! (2014年5月12日 17時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
夏みかん - 素晴らしいです。あぁ、めっちゃ好きです!更新頑張って下さい。 (2014年5月12日 15時) (レス) id: 6748ba7e6c (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - 羽さん» 楽しませることができて光栄です!更新、頑張らせていただきますね^^ (2014年5月3日 23時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:
作成日時:2014年1月12日 15時