「私の給仕。」 ページ22
「あれ?Aちゃん!もう病室から出ていいの?」
ふわふわふわりと、綺麗で滑らかな黒髪を左右に揺らしながら、リナリーちゃんが走ってきた。
そんな美しい容貌でも、まったく隙がない。
もう完璧という単語が体をもって歩いているようだ。
平たく言えば、「いつ見ても羨ましい存在だなぁ」。
「んへへ、ストレスたまっちゃうからって特別に外出許可を…」
「へー…珍しいね。婦長はそんなこと、普段は言わないわ。」
「そうなの?まぁ、結構渋ってたからなぁ…。」
んべ、と舌を出してみれば、リナリーちゃんは手を口元にやり、上品にくすくすと笑った。
そんな様子も男心をくすぐるんだろうな、と小さくお手本にしてみた。
私、笑う時って結構豪快だしなぁ、とか考えながらじっくりとリナリーちゃんを見つめた。
「ところで、リナリーちゃんはここで何してるの?」
「ん?給仕みたいなことをしてるの。化学班のみんなにコーヒーとか出したりするの、趣味でやってるの。」
にっこりと笑みを浮かべて、リナリーちゃんは言った。
成程、つまりメイドみたいな存在かぁ…。
化学班の皆さんも嬉しいだろうなぁ。こんな可愛い子がいれたコーヒー入れられたら、私だって嫌いな勉強頑張れそうだよ…。
「リナリーちゃんって本当すごいねぇ…自分が出来ること、なんでも進んでやるんだもん…」
「ふふ、それはAちゃんでしょ?行動力あって素敵だと思うな、私。」
「慰めはいらないよ…あーぁ、私も誰かの役に立ってみたい…。」
イノセンスを失った、教団に居座ってるだけのただの一般人が出来るわけないけどね。
夢は寝てからっていう話ですね分かります…。
イノセンスさえあればもう少し自信持てる気がするけど…ないから、ただでさえネガティヴな思考がさらにネガティヴだよ…。
はぁ、と小さくため息をつくと、リナリーちゃんが唐突に小さく「あ。」と声を漏らした。
「じゃあAちゃんも手伝えばいいじゃない!」
名案、というように女でも惚れ惚れするほどの整った笑みをこちらに向ける。
ついでに首を傾げてくるものだから、余裕でノックアウトされてしまった。
本当にリナリーちゃんって可愛いなぁ。羨ましいなぁ。
なんて頭の隅で考えながらも、私は必死にリナリーちゃんの言った言葉を理解しようとした。
手伝えばいいじゃない!と簡単に言ってくれましたけど何を?
「私の給仕。」
笑みを崩さず言ったリナリーちゃんに、私は言葉を失った。
台所を爆破しろと言うことか。
「本当に、熱には…触れられなくて、」→←「…サポートしか、じゃないですよ。」
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∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - ログ@エネさん» ちょっw興奮しすぎじゃき( 読んでくれてありがとう!少しずつ二人の仲を近づけていきたい!…です( (2014年5月17日 19時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
ログ@エネ(プロフ) - おおおおお?ついに?ついに?ラビへの思いに気づくか? (2014年5月17日 0時) (レス) id: 4873300096 (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - 夏みかんさん» そんな嬉しいこと言わないでください…マジで感激で泣いちゃいますよ>< 本当にありがとうございます!いつも閲覧頂き、感謝の気持ちでいっぱいです。これからもどうかよろしくお願いします! (2014年5月12日 17時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
夏みかん - 素晴らしいです。あぁ、めっちゃ好きです!更新頑張って下さい。 (2014年5月12日 15時) (レス) id: 6748ba7e6c (このIDを非表示/違反報告)
∧∧ネコミミ∧∧@元うにゃ(プロフ) - 羽さん» 楽しませることができて光栄です!更新、頑張らせていただきますね^^ (2014年5月3日 23時) (レス) id: c31f9c6564 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:
作成日時:2014年1月12日 15時